医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2012年3月 2日
No.211「社内定期健康診断を受けていた社員が肺癌で死亡。医師のレントゲン読影及び診察につき過失を認めながら、延命利益の喪失による損害賠償請求及び不誠実な医療自体についての損害賠償請求を認めなかった地裁判決を維持した高裁判決」

東京高等裁判所平成10年2月26日判決 判例タイムズ1016号192頁 (争点) 医師らの過失の有無 医師の過失と患者Aの延命利益の喪失との間の相当因果関係の有無 不誠実な医療自体についての損害賠償責任の有無 (事案) Aは、損害保険事業を営むY保険株式会社(Y1社)に昭和51年4月に入社した女性社...

2012年3月 2日
No.210「レントゲン撮影を含む市の集団検診を受けていた女性が肺癌により死亡。レントゲン写真の読影担当医師に過失はないとして、遺族の請求を棄却した地裁判決」

仙台地方裁判所 平成8年12月16日判決 判例タイムズ950号211頁 (争点) 集団検診におけるレントゲン写真読影担当医の過失の有無 (事案) A(女性)の居住するB市は、Y(県民の結核を中心とする胸部疾患等の予防及び治療に関し必要な事業を行い、もって県民保健の向上を図ることを目的とする財団法人)...

2012年2月13日
選択の視点【No.208、209】

今回は、産婦人科医師に新生児出生後の転送義務違反が認められた高裁判決(No.208)と、否定された高裁判決(No、209)をご紹介します。 No.208の高裁判決については上告受理申立がなされた後、和解が成立しています。 No.209の紹介にあたっては、判例タイムズ1353号185頁の解説も参考にし...

2012年2月13日
No.209「開業医が前期破水後入院した妊婦を総合病院に転送したが、転送先病院で生まれた新生児に重度の障害。医師の早期の転送義務違反を否定して患者側の請求を棄却した一審判決を維持し、控訴を棄却した高裁判決」

広島高等裁判所岡山支部 平成22年3月18日判決 判例タイムズ1353号 185頁 (争点) 早期に妊婦を転送すべき注意義務の有無 (事案) Xは前期破水を起こしたため、平成15年3月22日午後零時、Y法人が設置し経営しているY産婦人科医院(以下、Y医院)に入院した。Y医院の医師はY医院の代表者H医...

2012年2月13日
No.208「頭蓋内出血が生じ、新生児に脳性麻痺等の後遺障害。患者側敗訴の一審判決を取り消し、医師に分娩後の転送義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所 平成13年5月30日判決 判例タイムズ1095号 225頁 (争点) 胎児に負担とならない方法で胎児の娩出を図るか、妊婦を高次医療機関に転送する義務があったのにこれを怠った過失の有無 患児の出生後、早期に新生児救命救急の施設を備えた病院に転送することを怠った過失の有無 (事案) 患児...

2012年1月13日
選択の視点【No.206、207】

今回は、がん患者に対する治験薬投与後、患者が死亡した事案で、病院側の責任が認められた判決(No.206)と否定された判決(No.207)をご紹介します。 No.206の判決では、治験薬を投与した県立病院勤務の医師につき、県の履行補助者として、患者の人権を尊重しつつ、専門医として要求される高度の知識、...

2012年1月13日
No.207「大学病院で、肺がんの治験薬投与から一ヶ月後に患者が死亡。当該治験薬の投与及び当該治験の説明に関する医師の注意義務違反を否定した地裁判決」

大阪地方裁判所 平成23年1月31日判決 判例タイムズ1344号180頁 (争点) 医師の注意義務(適正診療義務ないし説明義務)違反の有無 (事案) A(昭和9年生まれの男性)は、16歳で来日し、大学を卒業した後、複数の会社を設立し、代表取締役を務めるなどの活躍をし、B国立大学校から名誉工学博士の学...

2012年1月13日
No.206「県立病院で卵巣癌の患者に承認前の治験薬を投与したところ、約4ヶ月後に患者が死亡。担当医師の注意義務違反、インフォームド・コンセント原則違反等を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所 平成12年3月24日判決 判例時報1733号70頁 (争点) 注意義務違反の有無 インフォームド・コンセント原則違反の有無 (事案) A(当時45歳の女性)は、昭和63年4月19日、H病院において子宮筋腫と診断され、同月28日にその切除手術が行われたが、開腹の結果右卵巣に悪性腫瘍が...

2011年12月13日
選択の視点【No.204、205】

今回は、精神科・精神神経科の診察に関する判決を2件ご紹介いたします。No.204は患者遺族の請求が一部認められ、No.205では、患者の請求が全く認められませんでした。 No.204の判決は、患者が従前通院して治療を受けていた病院と自殺する直前に入院した病院のそれぞれの責任について、連帯責任ではなく...

2011年12月13日
No.205「精神神経科の医師が、患者に対し、「人格障害」であるとの病名を告知。これによりPTSD(外傷後ストレス障害)を発症したとする患者の請求を一部認めた控訴審を破棄し、医師の言動と患者の症状との間の相当因果関係を否定し、患者の請求を認めなかった最高裁判決」

最高裁判所第三小法廷 平成23年4月26日判決 判例タイムズ1348号92頁 (争点) 医師の言動と患者の症状との間の因果関係の有無 (事案) X(昭和38年生まれの女性)は、看護師として勤務していたが、改めて大学の法学部に進学するため退職し、大学卒業後の29歳頃から11年間にわたり町役場に勤務して...

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