医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2011年8月 9日
選択の視点【No.196、197】

今回は薬剤の取り違えと過剰投与に関する判決を一件ずつご紹介します。 No.196の事案では、都立病院の医師や都衛生局病院事業部の職員の行為について、国家賠償法の適用があるかどうかも争点となりました。国家賠償法1条1項は「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過...

2011年8月 9日
No.197「臨床3年目の医師が常用量の5倍のベナンバックスの投与を指示。3日連続で投与された入院患者が死亡。処方した医師と処方せんに従って調剤をした薬剤師、調剤監査を行った薬剤師の過失は認めたが、上級医である部長及び主治医代行医の過失は否定した地裁判決」

東京地方裁判所平成23年2月10日判決 判例タイムズ1344号90頁 (争点) 上級医に過失があったか 薬剤師に過失があったか (事案) 患者A(事故当時66歳の男性)は平成9年6月、前立腺肥大・PSA高値のため泌尿器科に通院していた。 平成16年秋より、両頚部リンパ節腫大を自覚し、仕事のために滞在...

2011年8月 9日
No.196「都立病院において、看護師が投与薬剤を取り違えて、患者が死亡。都に患者死亡に関する損害賠償の支払いと、死因解明及び説明義務違反、監督官庁としての助言義務違反に基づく慰謝料の支払いを命じ、院長と主治医に対して死因解明及び説明義務違反に基づく慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所 平成16年1月30日判決 判例タイムズ1194号243頁 (争点) 患者の死亡自体に関する東京都の義務違反の有無 患者死亡後の各被告らの行為に関する義務違反の有無 (事案) 患者A(本件事故当時58歳の女性)は、平成11年2月8日、慢性関節リウマチ治療のため、Y1医師が院長を務めるY...

2011年7月 8日
選択の視点【No.194、195】

今回は、眼科手術について病院の損害賠償義務が認められた判決と否定された判決を1件ずつご紹介します。 No.194の判決では、医師の術中の過失と患者の術後の視力の低下に因果関係を認めた上で、患者の社会的地位(相当規模の売り上げの会社役員であること)、またそのことを病院側が認識していたことを考慮して、損...

2011年7月 8日
No.195「黄斑円孔に対する硝子体手術を受けた患者に脈絡膜出血が生じ、視力が低下。結果の予見可能性も出血と視力低下との相当因果関係もないとして医師の過失を否定し、患者の請求を全て棄却した地裁判決」

大阪地方裁判所 平成21年11月24日判決 判例タイムズ1316号210頁 (争点) 医師に手技上の過失はあったか 医師の過失と視力低下との間の因果関係 (事案) X(昭和22年7月生まれの男性)は、平成18年1月26日、A病院で両眼裂孔原性網膜剥離と診断され、その後、同病院で、水晶体乳化吸引術、眼...

2011年7月 8日
No.194「大学病院で黄斑上膜手術を受けた患者に、術後、視力低下、頭痛などの症状が発生。術中の医師の過失を認め、大学病院側に賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所 平成18年7月28日判決 判例タイムズ1253号222頁 (争点) 医師に過失はあったか 転院の際の個室料負担額は損害に含まれるか 鍼灸、カイロプラクティック及び指圧費用は損害に含まれるか (事案) X(手術当時60代の男性、年商約530億円の会社の社長)は、平成4年ころから左眼の視...

2011年6月 3日
選択の視点【No.192、193】

今回は手術に際しての麻酔管理の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.192の事案では、裁判所は、「外科医師が外科手術に際し、麻酔管理を他の医師に委ねるのは、自己が手術に専従できるようにするためであり、特段の事情のない限り麻酔は外科手術の補助的手段である。麻酔担当医師は、術者である外科医師の...

2011年6月 3日
No.193 「子宮筋腫摘出術を受けた患者が、脳機能障害により死亡。麻酔担当看護師及び執刀医の過失を認めて遺族への損害賠償を命じた地裁判決」

東京地裁平成7年4月11日判決 判例時報1548号79頁 (争点) 患者Aの死因 B看護師の過失の有無 Y医師の過失の有無 (事案) 患者A(本件当時39歳の女性)は昭和52年5月22日、Y医師の開設するY産婦人科医院で第三子を出産したが、昭和60年11月29日、腹部腫瘤感を訴え再度来院し、超手拳大...

2011年6月 3日
No.192 「胃切除術後の患者に脳神経障害が発生。麻酔医の過失が認定され、病院の使用者責任が認められたが、外科医の責任は否定された地裁判決」

新潟地裁 平成6年5月26日判決 判例タイムズ872号263頁 (争点) 麻酔の管理に過失はあったか 担当外科医Y2医師に過失はあったか (事案) 患者A(昭和60年死亡時48歳の男性)は、農業に従事するかたわら村の農業協同組合に勤務していたが、昭和59年5月30日、労働福祉事業団(以下Y1)の経営...

2011年5月10日
選択の視点【No.190、191】

今回は、自然医学療法を受けていた患者に対する損害賠償義務が認められた判決を2つご紹介いたします。 両事案とも、患者は、当該医師の自然医学療法に関する著書を読んで、受診をしています。そして、両事案とも、自然医学療法以外の治療をしなかったことについての責任は問いませんでしたが、No.190では説明義務違...

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