医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2011年5月10日
No.191「自然医学療法を治療方針とする開業医の治療を受けていた慢性腎炎の患者の病状が急速に悪化。開業医に転医を推奨すべき義務があったとして損害賠償を命じた地裁判決」

仙台地方裁判所平成13年2月13日判決 判例タイムズ1179号286頁 (争点) Yに薬物療法を実施する義務があったか Yに転医推奨義務があったか Yの過失とXの損害との因果関係 (事案) X(昭和43年生まれの男性)は平成6年5月、ひどい頭痛と倦怠感を感じたためT病院を受診したところ慢性糸球体腎炎...

2011年5月10日
No.190「自然医学療法を治療方針とする開業医の診療を受けていた乳癌患者が死亡。患者の病状を把握した上で実施する自然医学療法の内容及び治療成績等について説明する義務を怠った点に医師の過失を認め、損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成12年3月27日判決 判例タイムズ1058号204頁 (争点) 社会通念上一般的ではないと考えられる特殊な治療法を実施する医師が負う義務 医師の過失と患者の死亡との因果関係 (事案) Y医師は患者本人の体質及び病状にあった食餌箋を処方し、患者はこれに従った規則正しい自宅療養をすると...

2011年4月11日
選択の視点【No.188、189】

今回は、美容整形外科手術における説明義務違反が認められた判決を2件ご紹介します。 No.188の事案では、判決の別紙(これについては判例タイムズ等の掲載誌をご参照下さい)として「診療経過一覧表」及び「説明経過一覧表」が添付されており、「診療経過一覧表」には、「年月日」、「診療経過(入通院状況・主訴・...

2011年4月11日
No.189「美容整形のための下顎骨切除手術につき医師の説明義務違反を認め、損害賠償請求を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年7月26日判決 判例タイムズ1139号219頁 (争点) 下顎骨を削る手術についての説明義務違反があったか 下顎骨が過大に切除されたか オトガイ神経が損傷されたか (事案) X(手術当時54歳の女性)は、自分の頬の膨らみが気になるようになっていた折、Y医院を開設するY医師が輪...

2011年4月11日
No.188「陰茎にシリコンボールを挿入する美容形成手術を受けた患者に変形の後遺症。術後の包帯の巻き方に関する医師の指導・説明義務違反を認め、患者の請求を一部認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年7月5日判決 判例タイムズ1089号228頁 (争点) 手術前の説明義務違反はあったか 医師自身が包帯を交換する義務はあったか 包帯の巻き方についての指導・説明義務違反はあったか (事案) Xは、平成11年(以下、同年については省略)1月7日、Y医師が経営するY美容外科に赴き...

2011年3月 9日
選択の視点【No.186、187】

今回は、出産に関連して医師の責任が否定された判決を2件ご紹介します。 No.186の事案では、本文でご紹介した争点に加え、遺族からは、経膣分娩の実施にあたり、頚管切開を行ったことが多量の出血を生じた原因であり、止血措置を講じなかったという主張もなされましたが、裁判所は、行政解剖の結果によっても、頚管...

2011年3月 9日
No.187「分娩に際し、クリステレル圧出法を実施したところ、4日後に子宮脱ないし子宮下垂を発症。医師の過失を否定し妊婦の請求を棄却した一審判決を維持し、患者の控訴を棄却した高裁判決」

広島高等裁判所平成22年6月17日判決 判例タイムズ1333号214頁 (争点) 患者にクリステレル圧出法の適応はあったか クリステレル圧出法についての説明義務違反はあったか 医師に手技上の過失はあったか 手技と子宮脱発生との因果関係 (事案) Xは、分娩のためY医師が経営するY医院に入院し、Y医師...

2011年3月 9日
No.186「胎児が死亡し、帝王切開ではなく経膣分娩で急速遂娩を行った後、妊婦がDICを原因とする出血性ショック及び多臓器不全によって死亡。市立病院の医師の対応に過失はないとし、遺族の請求を棄却した地裁判決」

水戸地方裁判所土浦支部平成13年11月20日判決 判例タイムズ1185号 282頁 (争点) 医師は、患者が早剥を発症していることの診断を遅延し、患者に対し、早剥とこれに伴うDICの進行予防、症状改善のために必要な治療処置を怠った事実があったか 医師が急速遂娩の方法として、帝王切開によらずに経膣分娩...

2011年2月 3日
選択の視点【No.184、185】

今回は、医師の経過観察義務違反が認められた判決を2件ご紹介します。 No.184の事案では、亡くなった患者は死亡当時69歳の女性でした。そして、逸失利益の算定にあたり、就労可能性があったとして、基礎収入を平成14年の賃金センサスをもとに年収を300万円と認め、就労可能年数を7年(ライプニッツ係数5....

2011年2月 3日
No.185「自転車運転中に転倒・骨折し、救急搬送された患者が、入院中に骨折部位からの出血による血腫の増大により窒息死。医師の検査義務違反、経過観察義務違反を認め、遺族の請求を認めた地裁判決」

前橋地方裁判所平成22年4月30日判決 判例時報2083号122頁 (争点) 医師に注意義務(過失)はあったか (事案) A(当時72歳の男性)は、平成17年(以下、同年については省略)4月9日午後2時40分ころ、自転車運転中の転倒事故により、左鎖骨骨折、左肋骨骨折等の傷害を負い、救急車でY社団法人...

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