医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2010年8月 4日
選択の視点【No.172、173】

今月は、高齢患者に対する手術における麻酔投与に関して、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.172では、執刀医は麻酔高を確認したと供述しましたが、判決では「具体的に、いつ、どのような方法でそれを確認したかは説明がない」「これは、同医師の主たる関心が本件手術の対象部位に十分な麻酔が効...

2010年8月 4日
No.173「前立肥大のレーザー手術中、医師の頸椎麻酔薬注入後、患者が呼吸停止、心肺停止に陥り、その後死亡。医師の責任を認めた判決」

札幌地方裁判所平成19年9月26日 判例時報2005号54頁 (争点) 医師に本件麻酔薬注入後、坐位による安静を維持して麻酔高の上昇を避けるべき注意義務違反があるか 医師に本件麻酔施行中に患者の全身状態を監視すべき注意義務違反があるか 医師の過失と患者の死亡との間の相当因果関係の有無 (事案) 患者...

2010年8月 4日
No.172「小柄な高齢患者への大腿骨頸部骨折手術後、急性循環不全で死亡。患者遺族の請求を棄却した一審判決を変更し、病院側に慰謝料の支払いを命じた高裁判決」

福岡高裁平成19年5月29日判決 判例タイムズ1265号284頁 (争点) 手術の際の患者の状況及び急性循環不全に至った原因 手術管理に係る医師の注意義務違反の有無 損害 (事案) A(当時82歳で身長146cm、体重42.5kg)は、平成2年6月に脳卒中に罹患して半身不随となり、以後寝たきりの状態...

2010年7月 1日
選択の視点【No.170、171】

今回はいわゆる「ガイドライン」に照らして医師の行為の過失の有無が判断され、その結果、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.170の事案では、一審判決も参照しました。 No.171の事案では、判決は作成主体、作成目的などにも言及しています。 両事案とも、患者は高齢(それぞれ事故当時7...

2010年7月 1日
No.171 「後縦靱帯骨化症除去前方除圧術により患者に重篤な後遺障害が発生。手術の除圧幅について、ガイドラインの内容に照らして不適切であると判断し、市立病院の医師の過失を認めて市に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成21年11月25日 判例タイムズ1320号198頁 (争点) 本件手術の術式選択及び除圧幅について医師に注意義務違反が認められるか (事案) 患者A(昭和2年生まれの男性)は、手がしびれ、握力が低下し、歩行時に右足を引きずるなどの不自由があったことから、平成12年2月15日、Y市が...

2010年7月 1日
No.170 「慢性肺血栓塞栓症の診断・治療により病状が軽快し、転医した患者が、転医先の病院で急性増悪期と診断されて血栓溶解療法を受けたところ、患者が脳内出血で死亡。転医先の病院の診断及び療法に過失を認め、遺族の損害賠償請求を認容した高裁判決」

福岡高裁平成20年6月10日判決 判例時報2023号62頁 (争点) 患者は慢性肺血栓塞栓症の急性増悪期にあったか 血栓溶解療法の適応はあったか 損害(患者に逸失利益はあるか) (事案) 患者A(昭和2年生まれの女性)は、平成7年11月、労作時に呼吸困難を自覚し、B病院において閉塞性肺疾患を原因とし...

2010年6月 7日
選択の視点【No.168、169】

今回は乳幼児医療に関する事案を2件ご紹介します。1件は病院側の責任が認められ、もう1件は否定されました。 病院側の責任を認めたNo.168の事案では、病院側はPVL(脳室周囲白質軟化症)の告知は、しばしば児童虐待に結びつく悲観的な告知であるとの主張もしたようですが、裁判所は、子の成育上の問題は、児童...

2010年6月 7日
No.169 「遅発型GBS感染症(劇症型・敗血症型)に罹患し、重篤な後遺症が残り、約3年後に死亡。新生児を診察した産婦人科医師の処置及び転送義務ついての過失を否定した判決」

前橋地方裁判所平成21年2月27日判決 判例タイムズ1314号267頁 (争点) 午前6時の診察時に、医師が患者に適切な処置を行い、または直ちに専門医に転送すべきであったのにしなかった過失の有無 午前9時の診察時に、医師が患者を直ちに専門医に転送すべきであったのにしなかった過失の有無 (事案) 患者...

2010年6月 7日
No.168 「PVL患児が脳性麻痺による運動障害を発症。PVL罹患について両親に報告・説明をしなかったとして、医師の報告・説明義務違反及び経過観察・治療義務違反を認めた地裁判決」

大阪地裁平成19年10月31日判決 判例タイムズ1263号311頁 (争点) 医師に報告・説明義務違反はあったか 医師に経過観察・治療義務違反はあったか 医師らの過失と損害との間に因果関係はあるか (事案) 患者X1は、両親X2(母)とX3(父)の二女として、出産予定日より約3カ月早い平成16年7月...

2010年5月11日
選択の視点【No.166、167】

今回は病院の患者に対する説明・顛末報告義務が問題となった事案を2件ご紹介します。 No.166の事案は、蕁麻疹の治療に来た患者に対して、医師がそもそも効能・効果のない薬剤の注射を指示し、さらに准看護師が注射すべき薬剤を取り違えるという経過をたどり、患者に重大な後遺症が残りました。この点について裁判所...

ページの先頭へ