医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2009年12月 8日
選択の視点【No.156、157】

今回は、生まれてくる子供が障害を負っている可能性についての説明義務が争点となった判決を2件ご紹介いたします。 No.156の判決はいったん控訴されたものの、その後取り下げられています。 No.157の判決は、上告・上告受理の申立がなされましたが、それぞれ棄却・不受理となっています。No.157の判決...

2009年12月 8日
No.157「遺伝性の難病に罹患した子が生まれる可能性についての両親の質問に対する医師の説明義務違反を認め、医師の勤務する社会福祉法人に対し、出生した難病の子の介護費用等の損害賠償を命じた判決」

東京高等裁判所平成17年1月27日 判例時報1953号132頁 (争点) 医師がペリツェウス・メルツバッヘル病(PM病)に罹患した子が生まれる可能性を説明しなかったことについて、説明義務違反が認められるか 子がPM病を発症したことによる介護費用等の積極損害が損害として認められるか (事案) X1及び...

2009年12月 8日
No.156「39歳の女性がダウン症児を出産。羊水検査の実施依頼に応じなかった点及びダウン症児出産の危険率等を説明しなかった点について医師の過失を否定した地裁判決」

京都地裁平成9年1月24日判決 判例タイムズ956号239頁 (争点) 妊婦からの羊水検査の申し出に対する医師の対応に過失はあったか 医師には、妊娠中絶に間に合う適切な時期に妊婦に対して羊水検査について説明し、これを実施すべき義務はあるか (事案) X1(昭和29年生まれの女性)は、平成5年、X2(...

2009年11月 4日
選択の視点【No.154、155】

今回は、産婦人科医が業務上過失致死罪で起訴されたのに対し、過失が認められないとして無罪判決を言い渡した事例2件をご紹介します。 刑事事件は、人に刑罰という重大な不利益を課すものであることから、民事事件と異なり、検察官は、「合理的な疑いを入れる余地のない程度」まで立証しなければならないという重い立証責...

2009年11月 4日
No.155「産婦人科医師が全前置胎盤患者の癒着胎盤を剥離し、大量出血により患者を死亡させたとして、業務上過失致死罪で起訴されたが、医師に剥離を中止して子宮摘出の移行すべき義務はなかったとして無罪を言い渡した判決」

福島地方裁判所平成20年8月20日 医療判例解説16巻20頁 (争点) 医師の胎盤剥離行為と患者の死亡との間に因果関係が認められるか 医師が胎盤剥離を継続すれば、胎盤剥離面から大量出血し、患者の生命に危険が及ぶおそれがあることを予見できたか 医師の患者の死亡を回避するための措置として剥離行為を中止し...

2009年11月 4日
No.154「分娩後患者が子宮頸管裂傷による出血性ショックで死亡。産婦人科医が、分娩介助に当たって、子宮頸管裂傷を見落とし、かつ高次の医療機関への転送義務を怠ったなどとして業務上過失致死罪で起訴された事案。いずれの過失も否定し無罪を言い渡した地裁判決」

名古屋地裁平成19年2月27日判決 判例タイムズ1296号308頁 (争点) 子宮頸管裂傷を見落とした過失の有無 輸液措置及び輸血の手配を怠った有無 高次の病院に転院させなかった過失の有無 (事案) A(本件当時31歳の健康な女性)は、平成12年1月17日、B産婦人科眼科で妊娠と診断され、その後も、...

2009年10月 5日
選択の視点【No.152、153】

今回は、脳梗塞発症に関連し、病院の責任が否定された判決を2件ご紹介いたします。 No.152の判決では、患者と病院側で、患者が入院しなかった経緯について双方の主張に食い違いがありました。患者は、「医師から入院を勧められなかったし、入院を拒否しなかった」と主張し、病院側は、「患者に対し入院を強く勧めた...

2009年10月 5日
No.153「高齢の女性が自宅で意識不明になり、救急車で搬送された後、搬送後の病院で脳梗塞を発症し、重篤な後遺症が残る。病院側の治療処置に不適切な点は認められないとして、病院側の損害賠償義務を否定した判決」

那覇地方裁判所平成19年11月28日判決 判例タイムズ1277号375頁 (争点) 抗凝血剤の投与時期又は適量を定める検査を行わなかったことにつき医師の過失が認められるか 看護師らの義務違反の有無及びそれと患者に生じた結果との間の因果関係の有無 (事案) 患者A(本件入院当時72歳の女性)は、昭和5...

2009年10月 5日
No.152「救急受診時に一過性脳虚血発作と診断された患者が、帰宅後に脳梗塞を発症して後遺症が残る。市立病院の治療処置に不適切な点はないとして、患者の請求を棄却した地裁判決」

名古屋地裁平成16年3月24日判決 判例タイムズ1192号275頁 (争点) 医師らに患者Xを入院させなかった過失はあるか 医師が患者Xにロンゲスを投与したことに過失はあるか 医師らの具体的な診療内容に過失はあるか (事案) 患者X(昭和19年生まれの女性、産婦人科医院(Xクリニック)を開業する産婦...

2009年9月 4日
選択の視点【No.150、151】

今回は、病室内での転倒をめぐる裁判で、病院側の責任が否定された判決と、肯定された判決をそれぞれ1件ずつご紹介します。 No.150の事案では、転倒により骨折していることをレントゲン写真を見た医師が見落としたという過失は認められましたが、転倒についての病院側の責任が否定され、また、見落としにより患者に...

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