医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2008年8月12日
No.124「市立病院医師がクモ膜下出血の警告症状を見落とし、措置が遅れたために患者に重度の後遺障害。初診時に腰椎穿刺を行わなかった過失があるとして市と医師に損害賠償義務を認めた判決」

大阪地方裁判所平成18年2月10日 判例時報1949号76頁 (争点) 患者の初診時における診断内容に係る過失の有無 平成13年8月25日の電話対応に係る過失の有無 (事案) 患者X(平成13年8月当時31才の専業主婦で夫との間に幼い子供が2人いる)は、平成13年8月17日ころから、左眼窩部に針で刺...

2008年7月10日
選択の視点【No.122、123】

今回は,専門医療機関への転送が問題となった判決を2件紹介します。 No.122の判決は、正月の4日の金曜日に急性白血病の患者が受診した事案です。開業医は専門医療機関への転送が必要であると判断をしましたが、検査結果が当日の夜にならないと分からないと思いこんで、午後3時30分頃にFAXされた検査結果に夜...

2008年7月10日
No.123「ギラン・バレー症候群を罹患した患者が航空機で転送後に心停止に陥り、重度の意識障害に。転送時期の判断、転送の際の呼吸管理について転送前の担当医師に過失を認め、病院に損害賠償義務を認めた判決」

福岡地方裁判所平成19年2月1日判決 判例時報1993号63頁 (争点) 転送時期選択についての債務不履行及び過失の有無 転送時の搬送方法、呼吸管理等についての債務不履行及び過失の有無 債務不履行及び過失と患者の後遺症との因果関係の有無 (事案) 患者X(システム開発に従事する当時25歳の男性)は、...

2008年7月10日
No.122「急性白血病の患者の専門医療機関への転送が、休診日との関係で遅れ、転送前に患者が死亡。医師に過失を認めた判決」

福岡高等裁判所平成18年9月12日判決 判例タイムズ1256号161頁 (争点) Y医師が患者Aを早急に専門医療機関に転送しなかったことに過失が認められるか 患者Aの損害額 (事案) 患者A(24歳の女性)は、平成13年12月29日ころから、38度の熱があり、31日には熱が39度台になったためF市内...

2008年6月 4日
選択の視点【No.120、121】

今回は薬剤投与について医師の責任が認められた判決を2件紹介します。 それぞれの判決紹介にあたっては、一審判決も参照しました。No.120の判決の一審判決は神戸地方裁判所昭和60年3月29日判決(判例タイムズ559号255頁)で、No.121判決の一審判決は東京地裁昭和57年7月15日判決(判例タイム...

2008年6月 4日
No.121「硫酸ストレプトマイシンの筋肉注射により、患者がショック症状が発生し、死亡。医師の損害賠償責任を認めた高裁判決」

東京高等裁判所昭和58年7月20日判決 判例タイムズ512号171頁 (争点) Y医師に投与すべき薬剤の選択を誤った過失があるか Y医師に本件注射前の安全確認を怠った過失があるか (事案) 患者A(死亡時30歳、養父の経営する酒店で勤務していた男性)は、毎年春先に鼻汁が多くなり、くしゃみが出る等の症...

2008年6月 4日
No.120「国立病院で感音難聴者に結核治療のため硫酸ストレプトマイシン投与。患者の聴力喪失につき医師の過失を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所昭和63年3月25日判決 判例タイムズ678号144頁 (争点) 医師Yの硫酸ストマイ投与と、患者Xの聴力障害増強との間に因果関係は認められるか 医師Yの硫酸ストマイ投与につき、過失が認められるか 損害額の算定につき、Xに硫酸ストマイ投与以前に聴力障害があったことを考慮し減額すべきか ...

2008年5月14日
選択の視点【No.118、119】

今回は高齢者の誤嚥に関して、病院・施設側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 両判決とも、誤嚥から窒息の後9ヶ月から10ヶ月程度経過してから死亡に至ったという事案です。No.118では、誤嚥と死亡との因果関係は否定され、葬儀費用の損害賠償は認められませんでしたが、No.119では因果関係がある...

2008年5月14日
No.119「県立病院で入院患者がおにぎりを誤嚥して窒息。その後約9ヶ月後に死亡。県と看護師に損害賠償責任を認める判決」

平成19年6月26日 福岡地裁判決(判例時報1988号56頁) (争点) 担当看護師の過失の有無 誤嚥の予見可能性の有無 おにぎり提供についての過失の有無 義歯を装着しなかったことについての過失の有無 見守りについての過失の有無 (事案) A(大正12年11月14日生まれの男性)は、老人性痴呆、前立...

2008年5月14日
No.118「特別養護老人ホームで入所者がかまぼこ片を誤嚥して窒息。約10ヶ月後に老衰で死亡。老人ホームを運営する社会福祉法人の損害賠償責任を認めた判決」

東京地方裁判所平成19年5月28日判決(判例時報1991号81頁) (争点) 入所者Aの容態急変は誤嚥によるものか 特別養護老人ホームを設置運営する社会福祉法人に、入所者の誤嚥監視義務などの違反があったか 損害額 (事案) A(明治37年5月4日生まれ・女性・死亡当時98歳)は、平成7年4月ころ、社...

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