医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2007年3月12日
No.91「横紋筋肉腫の患者への放射線治療から、患者の脳幹部に放射線障害が発症して死亡。病院の損害賠償責任を認める判決」

横浜地方裁判所平成13年10月31日判決(判例タイムズ1127号212頁) (争点) 医師の過失の有無 因果関係 損害(特に逸失利益・葬儀費用・慰謝料について) (事案) 患者A(死亡当時27歳の女性)は、Y(社会福祉法人)が解説するY病院で鼻孔ないし副鼻孔原発の横紋筋肉腫と診断された。Aの横紋筋肉...

2007年3月12日
No.90「慢性肝炎の患者が併発した食道静脈瘤破裂により死亡。医師の過失を認める判決」

福岡地方裁判所平成7年1月20日判決(判例時報1558号111頁) (争点) Y医師の注意義務違反の有無 肝臓病のため、就労していなかった患者Aについて逸失利益が認められるか否か (事案) 患者Aは、昭和55年12月、F病院において慢性肝炎の診断を受け、同月16日から昭和56年3月12日まで同病院で...

2007年2月 6日
選択の視点【No.88、89】

今回は、人間ドック検査における医師の過失について、損害賠償請求が認容された判決を2件ご紹介いたします。 人間ドック検査などの健康診断に関する訴訟では、医師の診断上の過失がなければ、患者の死を避けられたはずだというところまでの因果関係は立証が難しいため、過失と死亡との因果関係が認められることは非常に少...

2007年2月 6日
No.89「人間ドックの便潜血検査で(+)の反応が出たが、病院は再検査等の受診を促さず、その後受診者は癌で死亡。病院の損害賠償責任を認める判決」

東京地方裁判所 平4年10月26日判決(判例時報1469号98頁) (争点) 人間ドック検査における、Y病院の過失の有無 Y病院の過失とAの死亡との因果関係 (事案) 患者A(死亡当時63歳の男性)は、健康保険組合の被保険者として、Y医療法人が開設するY病院において、昭和56年11月27日、昭和57...

2007年2月 6日
No.88「人間ドック検査で癌の疑いがある病変を医師が発見しながら、告知や検査を失念し、その後患者が癌で死亡。延命利益喪失を理由とした慰謝料を患者遺族に支払うよう医師側に命じた判決」

静岡地方裁判所沼津支部 平成2年12月19日判決(判例時報1394号137頁) (争点) 人間ドック検査におけるY2医師の過失の有無 適切な癌の告知と精密検査が行われていた場合のAの延命可能性の有無 (事案) 患者A(大正12年生まれの男性。人間ドック検査時60歳。)は、昭和58年7月6日、7日の両...

2007年1月10日
選択の視点【No.86、87】

今回は、歯科医師の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介いたします。 歯科医療には、一般医療と比べて、「治療に用いられる材料・材質に選択の余地がある」「保険診療の対象外の治療(自費診療)が多い」「容貌に及ぼす影響が大きい」「復元が困難・不可能な治療が多い」「緊急性に乏しい場合もある」といった特色が...

2007年1月10日
No.87「歯周病治療で歯科医師が患者の24歯全部を大幅に削合。医師の損害賠償責任を認めた判決」

山口地方裁判所平成17年12月22日判決(判例タイムズ1223号240頁) (争点) 説明義務違反の有無 治療の一環として、患者の24歯全部を大幅に削合したことが、不法行為に該当するか (事案) 患者X(昭和24年生まれの女性でブティック経営者)は、Y歯科医師が開設するY歯科医院を平成14年3月1日...

2007年1月10日
No.86「歯科医師のブリッジ(架工義歯)の支台築造に過失が認められた判決」

平成4年5月29日京都地方裁判所判決(判例時報1479号64頁) (争点) ブリッジ補綴治療についての歯科医師の債務不履行の有無 (事案) 患者X(昭和27年生まれの主婦)は、F歯科医院で昭和47年に受けた被冠型ブリッジ(架工義歯)の前装歯2本が変色したため、昭和58年になってY歯科医師の経営するY...

2006年12月18日
選択の視点【No.84、85】

今回は、薬剤投与によって患者がショック状態になった事案に関する判決を2件ご紹介します。 どちらの判決も、医師が患者のアレルギー体質を認識、あるいは認識しえた点を重視しているといえます。 No.84の判決は、腰痛等の治療のため、ビタノイリン、ノイロトロピンを投与したところ、患者がショック状態になり心臓...

2006年12月18日
No.85「インフルエンザの症状を訴えて医師の診察を受けた患者に対し、静脈注射をしたところ、患者がショック状態となって死亡。医師の過失を認め損害賠償責任を認めた判決」

大阪地方裁判所 平成14年1月16日判決(判例時報1797号94頁) (争点) 患者に対し本件注射をしたことについて、医師に過失があるか 医師が、本件ショック症状発見後、患者に対して施した処置について、医師に過失があるといえるか、適切な処置を施していた場合、患者の死は避けられたか 損害額 (事案) ...

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