医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2008年1月22日
No.111「飲酒中に気分が悪くなった大学生が、国立病院での診療を受けた後、帰宅時には心拍が停止しており、その後の処置でも回復せず急性呼吸不全のため死亡。国立病院側の損害賠償責任を認めた判決」

高松高等裁判所平成18年9月15日判決 判例時報1981号40頁 (争点) Y医師がAを帰宅させる際に再度の診察を行わなかったことに診察上の注意義務違反が認められるか (事案) 平成10年11月21日夜、大学4年生であった患者A(当時22歳)は、友人らと酒を飲んで気分が悪くなり、友人に連れられて国立...

2008年1月22日
No.110「受刑者がアルコール離脱症候群から肺うっ血及び腎不全に至り死亡。受刑施設職員と非常勤嘱託医に注意義務違反ありとして、受刑者の遺族に対する国の損害賠償義務を認めた判決」

松江地方裁判所平成14年1月30日判決 判例タイムズ1123号115頁 (争点) 受刑施設職員(副看守長)に注意義務違反があるか 受刑施設の非常勤嘱託医に注意義務違反があるか (事案) A(死亡当時44歳の男性)は、平成8年7月10日、道路交通法違反(酒気帯び運転)により懲役2月の実刑判決を受け、同...

2007年12月11日
選択の視点【No.108、109】

今回は、脳の手術における医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.108には「司法解剖」という用語が出ています。また、No.109の判決紹介にあたっては、判例タイムズの同じ号に掲載されていた、原審判決(大分地裁)も参考にしておりますが、その原審判決中に、患者Aの病理解剖がなされなかった旨...

2007年12月11日
No.109「69歳の女性が髄膜腫摘出手術中に急性硬膜下血腫が生じ、患者が死亡。閉頭操作及び頭部CT検査の実施の遅延により硬膜下血腫の除去が遅れたとして、病院側に損害賠償責任を認めた判決」

福岡高等裁判所平成18年10年26日判決 判例タイムズ1243号209頁 (争点) 本件血腫の発見が遅れたことについてH医師らに過失があるか 損害額に術後の患者の後遺障害の残存の可能性を考慮するべきか (事案) 患者A(昭和5年生まれの女性)は、平成9年頃より、年に1回程度、回転性のめまいを感じてい...

2007年12月11日
No.108「大学病院で気管切開を受けた食道癌患者が、気管切開術中に失血死。執刀医が、患者の頸動脈を誤って切断した過失があるとして大学側に損害賠償請求を認める判決」

東京地方裁判所平成18年2月23日判決(判例タイムズ1242号245頁) (争点) 患者Aの死因が気管切開術中のB執刀医の過失によるものか 患者Aの余命を何年として損害を算定するか (事案) 患者A(昭和8年生まれの男性)は、他院で食道癌と診断され、その紹介で、平成11年9月1日に学校法人Yが開設し...

2007年11月 8日
選択の視点【No.106、107】

今回は、専門科目外の医療に関する過誤について、医師側の責任を認めた判決を2件ご紹介します。 No.106の判決紹介にあたっては、一審の判決も参考にしました。 No.106では、開業医の注意義務違反による転院先での手術の遅れがなければ、患者に後遺症が生じなかったとまでは言えないが、より早期に手術を受け...

2007年11月 8日
No.107「県立の循環器呼吸器専門病院医師が、患者のC型肝炎ウイルス感染を見落とす。転院先で患者が死亡。県の債務不履行責任を認める判決」

横浜地方裁判所平成17年9月14日判決(判例時報1927号79頁) (争点) Yセンター医師らは、患者AをC型肝炎の治療に適した医療機関に転医させるべき診療契約上の義務を怠ったか 上記1の債務不履行と患者Aの死亡との間に相当因果関係はあるか (事案) 患者A(昭和16年生まれの男性)は、肺ガンが疑い...

2007年11月 8日
No.106「生後6ヶ月の男児が開業医から転院先の脳外科で開頭手術を受けたが、硬膜外血腫による後遺症が残存。開業医に転送の際の注意義務違反を認め、患者側が逆転勝訴した高裁判決」

大阪高等裁判所平成8年9月10日判決 判例タイムズ937号220頁 (争点) 専門領域外の他院に転送する際に、開業医であるY医師に注意義務違反があったか否か Y医師の過失と相当因果関係のある損害の項目 (事案) 患者Xは当時生後6ヶ月の男児で、Y医師は内科、小児科、放射線科を標榜科目とするY医院を経...

2007年10月12日
選択の視点【No.104、105】

今回は、損害賠償の額に関して、特殊事情を考慮して減額が認められた判決を2件ご紹介します。 No.104の判決に出てくる、「医療保護入院」とは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健法)第33条に定められている精神障害者の入院形式です。精神障害者で、自傷他害のおそれはないが、医療及び保護のため...

2007年10月12日
No.105「高圧浣腸のミスから人工肛門設置。閉鎖の可能性はあるが、閉鎖手術の選択は酷であるとして、後遺障害を認定。閉鎖手術を選択しなかったことは治癒可能性の機会の放棄として損害賠償額を減額した判決」

高松高等裁判所平成19年1月18日判決 判例時報1964号90頁 (争点) 症状固定の有無 損害及びその額 (事案) 患者X(平成17年当時63歳の女性)は平成14年2月6日、Y医療法人が開設するY病院にて大腸検査のため高圧浣腸を受けたところ、看護師の手技上のミスにより直腸後壁が穿孔され、医原性大腸...

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