医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2007年10月12日
No.104「都立病院に医療保護入院中の患者が、鎮静剤投与で容態急変。蘇生後脳症により重度の後遺障害。病院側の過失を認め、損害賠償額の算定にあたっては、医療事故前の患者の症状などを考慮して逸失利益を減額した判決」

東京高等裁判所平成13年9月26日判決 判例タイムズ1138号235頁 (争点) 本件医療事故の原因 T医師の過失 損害 (事案) 患者X(昭和39年9月生まれの男性)は、平成7年2月11日深夜、自宅において、 暴言を浴びせ、物を投げつけるなどし、不穏、興奮状態が続いたため、Xの母の110番通報によ...

2007年9月10日
選択の視点【No.102、103】

今回は、術後管理について、医師の責任が認められた判決を2件紹介します。 No.102の判決では、手術中のくも膜の破損や、ラトケ嚢胞を全部摘出したこと自体の過失についても原告側は主張していましたが、裁判所はこれらの過失は否定し、ただし、合併症の危険の高い手術方法を選択したのであるから、通常以上に十分な...

2007年9月10日
No.103「冠状動脈バイパス手術を受けた患者が、術後に腸管壊死になり、死亡。医師の過失を認め、高裁判決を破棄した最高裁判所判決」

最高裁判所平成18年4月18日判決(判例タイムズ1210号67頁) (争点) 医師の過失の有無 (事案) 患者Aは、故B院長の開設していたC病院において、平成3年2月22日午前11時55分から午後6時30分まで、冠状動脈バイパス手術を受けた。執刀医は、B院長から依頼を受けたE大学教授であり、C病院の...

2007年9月10日
No.102「ラトケ嚢胞の全部摘出手術後、14歳男子が髄膜炎、気脳症の合併症で死亡。国立大学病院の責任を認めた判決」

神戸地裁平成15年6月12日(判例時報1836号105頁) (争点) 術後管理における医師の過失の有無 (事案) 患者A(死亡当時14歳)は、私立大学病院で嚢腫との診断を受け、手術方法として経蝶形骨洞到達法(ハーディ法)の説明を受けた。そして、その手術が可能な国立大学附属病院であるY病院に平成10年...

2007年8月 9日
選択の視点【No.100、101】

今回は、いわゆる胎児仮死に関する判決を2件(No.100、No.101)ご紹介します。 胎児仮死(または安心できない状態)で出生し、低酸素症から重度の後遺障害を負った事案については、いくつもの判例があり、医療訴訟にいたる類型の一つといえます。 両判決とも実務において参考になると思いますので紹介します...

2007年8月 9日
No.101「低酸素状態が続いていた胎児について、急速遂娩実施の遅れにより、重度脳障害の後遺症。医師の責任を認める判決」

平成15年7月9日富山地方裁判所判決(判例時報1850号103頁) (争点) 女児の重度脳障害の原因 Y医師の注意義務違反の有無 (事案) X2(母)は、産婦人科医であるYが開設経営していたクリニック(以下Yクリニックという)を平成6年8月8日受診し、妊娠5週間、分娩予定日が平成7年4月12日と診断...

2007年8月 9日
No.100「帝王切開出産時の低酸素症により、新生児が重症脳性麻痺に罹患し、その後11歳で死亡。産婦人科医師の過失責任を認める判決」

鹿児島地方裁判所平成15年1月20日判決(判例タイムズ1164号257頁) (争点) 産婦人科医師の注意義務違反 因果関係 損害 (事案) 患者Aの父親がX1、母親がX2である。X2は、平成3年3月30日の初診以来、約1ヶ月おきにY医師が開設するY産婦人科(Y医院)において妊娠経過の診察を受けていた...

2007年7月13日
選択の視点【No.98、99】

今回は、定期金賠償が認められた判決を2件ご紹介します。 損害賠償は、将来の損害も含めて一括払いが一般的です。これに対して定期金賠償とは、例えば「生存する限り1ヶ月ごとに30万円支払え」というように、定期的な金銭支払による賠償方法です。総額が決まっておらず、支払期ごとに発生するという点で、総額が決まっ...

2007年7月13日
No.99「急性喉頭蓋炎の患者が低酸素脳症から重度後遺症。最初に診療した個人経営の病院及び転送先の県立病院に対して、定期金賠償を含む損害賠償の支払いを命じた判決」

平成16年1月21日大阪地裁判決(判例時報1907号85頁) (争点) 最初に入院したY1病院の当直医であるK医師に経過観察義務違反があったか 転送先の医大病院のN医師による緊急気道確保のための手技に過失があったか 損害 (事案) X(当時32歳の男性)は、平成11年8月13日午後6時30分ころ、身...

2007年7月13日
No.98「女児患者が麻酔薬の過剰投与で重篤な後遺障害。病院側に将来の自宅介護の費用についてのいわゆる定期金賠償を命じる判決」

東京地方裁判所平成8年12月10日判決(判例時報1589号81頁) (争点) 患者X1及び両親に生じた損害の額 (事案) 患者X1(平成3年4月生まれの女児)は、平成5年2月4日午後8時ころ、引きつけを起こし40度の熱が出たため、最寄りのT病院を受診し、解熱剤を処方されて帰宅した。翌2月5日朝、X1...

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