医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2008年3月18日
No.114「虫垂炎の手術後に乏尿状態になった患者に対して、医師が過剰な輸液を投与。急性腎不全、肺水腫で患者が死亡した事案で医師の過失を認めた判決」

東京地方裁判所昭和61年6月30日判決 判例時報1240号79頁 (争点) 虫垂炎の手術後に乏尿状態となった患者に輸液の投与を継続したW医師に過失が認められるか 呼吸困難に陥り転院された患者に対して人工透析を行ったものの、透析終了後に再開しなかった転院先の医師に過失があるか (事案) 患者A(昭和3...

2008年2月13日
選択の視点【No.112、113】

今回は歯科医師の責任が問われた判決を2件ご紹介します。 No.112の判決は、歯科医師の治療行為自体にミスはなかったとして、債務不履行責任は否定されたのですが、治療費先払いでの治療契約が途中で終了した場合に、履行の割合を超えた部分については受領済みの治療費を患者に返還すべきとの判断が示されました。判...

2008年2月13日
No.113「抜歯の際、歯科医師が麻酔注射の注射針の選択を誤り、折れた注射針が患者の右上顎部組織内に残存。患者の後遺症を考慮し歯科医師に損害賠償責任を認めた判決」

札幌地方裁判所平成17年11月2日 判例時報1923号77頁 (争点) 患者に生じた後遺症の程度 患者に生じた損害額の算定 (事案) 患者X(昭和52年生まれの男性・事故当時大学院生)は、平成15年1月10日午前10時30分ころ、右顎の痛みを訴え、Y歯科医師が開設しているY歯科医院を受診し、Y歯科医...

2008年2月13日
No.112「歯列矯正歯科治療の契約を患者が治療途中で解除。歯科医師の債務不履行は否定するが治療行為の未履行の部分の治療費の返還義務は認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年2月26日判決 判例タイムズ1138号131頁 (争点) Y歯科医師に債務不履行責任があるか 矯正治療契約の解除により、未治療部分の治療費の返還が認められるか (事案) 患者X(女性)は、平成8年はじめころ、近く結婚することを機に歯列矯正治療を受けることとし、外科併用の矯正術...

2008年1月22日
選択の視点【No.110、111】

今回はアルコール中毒に関連して、医師側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.110判決に出てくる「監獄法」は、現在は「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」に改められています。また、受刑施設の非常勤嘱託医師が、副看守長からの電話での報告を受けて、本人を直接診察することなく、薬剤(...

2008年1月22日
No.111「飲酒中に気分が悪くなった大学生が、国立病院での診療を受けた後、帰宅時には心拍が停止しており、その後の処置でも回復せず急性呼吸不全のため死亡。国立病院側の損害賠償責任を認めた判決」

高松高等裁判所平成18年9月15日判決 判例時報1981号40頁 (争点) Y医師がAを帰宅させる際に再度の診察を行わなかったことに診察上の注意義務違反が認められるか (事案) 平成10年11月21日夜、大学4年生であった患者A(当時22歳)は、友人らと酒を飲んで気分が悪くなり、友人に連れられて国立...

2008年1月22日
No.110「受刑者がアルコール離脱症候群から肺うっ血及び腎不全に至り死亡。受刑施設職員と非常勤嘱託医に注意義務違反ありとして、受刑者の遺族に対する国の損害賠償義務を認めた判決」

松江地方裁判所平成14年1月30日判決 判例タイムズ1123号115頁 (争点) 受刑施設職員(副看守長)に注意義務違反があるか 受刑施設の非常勤嘱託医に注意義務違反があるか (事案) A(死亡当時44歳の男性)は、平成8年7月10日、道路交通法違反(酒気帯び運転)により懲役2月の実刑判決を受け、同...

2007年12月11日
選択の視点【No.108、109】

今回は、脳の手術における医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.108には「司法解剖」という用語が出ています。また、No.109の判決紹介にあたっては、判例タイムズの同じ号に掲載されていた、原審判決(大分地裁)も参考にしておりますが、その原審判決中に、患者Aの病理解剖がなされなかった旨...

2007年12月11日
No.109「69歳の女性が髄膜腫摘出手術中に急性硬膜下血腫が生じ、患者が死亡。閉頭操作及び頭部CT検査の実施の遅延により硬膜下血腫の除去が遅れたとして、病院側に損害賠償責任を認めた判決」

福岡高等裁判所平成18年10年26日判決 判例タイムズ1243号209頁 (争点) 本件血腫の発見が遅れたことについてH医師らに過失があるか 損害額に術後の患者の後遺障害の残存の可能性を考慮するべきか (事案) 患者A(昭和5年生まれの女性)は、平成9年頃より、年に1回程度、回転性のめまいを感じてい...

2007年12月11日
No.108「大学病院で気管切開を受けた食道癌患者が、気管切開術中に失血死。執刀医が、患者の頸動脈を誤って切断した過失があるとして大学側に損害賠償請求を認める判決」

東京地方裁判所平成18年2月23日判決(判例タイムズ1242号245頁) (争点) 患者Aの死因が気管切開術中のB執刀医の過失によるものか 患者Aの余命を何年として損害を算定するか (事案) 患者A(昭和8年生まれの男性)は、他院で食道癌と診断され、その紹介で、平成11年9月1日に学校法人Yが開設し...

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