医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2006年2月15日
No.64「帝王切開後、患者の同意なく子宮と右卵巣を摘出。患者の夫である医師が子宮摘出に同意をした場合でも、大学病院の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 平成13年3月21日判決(判例時報1770号109頁) (争点) 説明義務違反の有無 (事案) 患者XはY大学病院形成外科K医師(教授)の妻(40歳)で、2人の間には長男がいた。Xは平成6年1月Y大学病院産婦人科を受診し、妊娠と診断され、以後T医師の検診を受けていた。 8月22日、X...

2006年1月18日
選択の視点【No.62、63】

今回は、いわゆる美容整形手術に関する判決を2件ご紹介します。 この分野は、他の医療行為に比べて手術の必要性、緊急性が少なく、審美的観点から患者が主観的に満足することが主な目的となるという特徴があります。そのため、手術の結果に患者が納得しなかった場合に、医師の説明義務違反が問われることがあり、裁判所も...

2006年1月18日
No.63「患者が当初要望していなかった左下顎骨の切除を勧めるにあたり、医師に説明義務違反があったとして、損害賠償を認めた判決」

東京地方裁判所 平成13年7月26日判決(判例タイムズ1139号219頁) (争点) 下顎骨の切除手術について説明義務違反があったか (事案) Xは、当時54歳で社交ダンス用の衣装などの注文製作業や社交ダンスの講師をして いた女性であるが、頬の骨がやや出ているように思ったため、平成5年11月1日、Y...

2006年1月18日
No.62「シミ治療につき錯誤無効を理由に患者には診療代金の支払義務が無いと認定。更に医師の説明義務違反による医療法人の損害賠償責任を認めた判決」

横浜地方裁判所 平成15年9月19日判決(判例時報1858号94頁) (争点) 患者のシミが肝斑か否か 診療契約が患者の錯誤により無効となるか 医師に説明義務違反があるか (事案) 患者X(診療当時42歳の女性)は額と両頬のシミを気にしていたところ、Y医療法人が経営するSクリニックを広告で知り、平成...

2005年12月 9日
選択の視点【No.60、61】

今回は、術後管理の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.60の判決の事案では、重い後遺障害を負った患者が禁治産宣告を受け、後見人が患者の代理人として訴訟を弁護士に委任しました。 禁治産・準禁治産の制度は平成12年に改められて、「法定後見制度」と「任意後見制度」が開始しました。 法定後見制度...

2005年12月 9日
No.61「睡眠時無呼吸症候群の患者に対するUPPP手術後、患者が死亡。病院の責任を認める高裁判決」

仙台高等裁判所平成14年4月11日判決 判例タイムズ1182号302頁 (争点) Aの死亡原因 過失 (事案) 患者A(昭和23年生まれの男性。軽度の肥満)は、平成4年2月3日から、Y労災病院(Y病院)呼吸器内科のいびき外来で、M医師の診察を受け、同月19日から20日にかけての睡眠時無呼吸モニター検...

2005年12月 9日
No.60「大学生が国立病院での腫瘍摘出手術後に出血が続き、ショック状態から重度後遺障害。国の責任を認める判決」

名古屋地方裁判所平成11年2月5日判決 判例時報1701号101頁 (争点) 本件ショックの原因 医師らの過失の有無・内容 (事案) 患者X(昭和37年生まれの男性・大学生)は、昭和57年10月にY大学医学部附属病院(Y病院)で左頸部腫瘍(ガマ腫)の摘出手術を受け、昭和58年4月頃、再び腫れが生じ、...

2005年11月16日
選択の視点【No.58、59】

今回は、分娩に関して病院側の責任が認められた高裁判決を2件ご紹介いたします。 1)最高裁判所がホームページのお知らせコーナー中の「医事関係訴訟委員会について」の項目で、医事関係訴訟に関する統計を公表していますが、そのうちの、「医事関係訴訟事件の診療科目別新受件数」によれば、産婦人科についての訴訟事件...

2005年11月16日
No.59「新生児に脳性麻痺の後遺症。分娩誘発剤投与に関する分娩監視義務を怠った市立病院の過失を認定した高裁判決」

福岡高裁平成16年12月1日判決 判例時報1893号28頁 (争点) 分娩誘発についての説明義務違反の有無 適応のない分娩誘発を実施した過失の有無 適切な分娩監視を怠った過失の有無 (事案) X1は平成5年3月2日、F市立F市民病院に入院し、同月3日午前9時8分ころから、分娩誘発剤(子宮収縮剤)であ...

2005年11月16日
No.58「分娩時の過失により胎児が仮死状態で出生、その後死亡。高裁で、医師の責任を認める逆転判決」

名古屋高裁平成14年2月14日判決 判例時報1813号91頁 (争点) 分娩が遷延した場合における医師の注意義務 (事案) X1は、平成5年9月4日、Yが経営する産婦人科病院(Y医院)を受診し、妊娠第八週と診察され、その後の経過は順調であった。X1は、陣痛を訴えて、平成6年4月23日午後8時20分頃...

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