医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年7月20日
No.51「県立病院の脊髄造影検査で、研修医が尿路血管造影剤を誤注入し患者死亡。研修医に業務上過失致死罪による禁錮10ヶ月、執行猶予2年の有罪判決」

甲府地方裁判所 平成6年6月3日判決(判例タイムズ1035号37頁) (争点) 判決理由の「罪となるべき事実」に示された、A医師の注意義務と過失 量刑(禁錮10月、執行猶予2年)の理由 (事案) 被告人A医師は、Y県立中央病院の研修医として、平成4年4月8日午後1時30分頃、患者V(当時58歳の女性...

2005年7月20日
No.50「集中治療室内の2歳男児に対する救急措置が遅れ、全治不明の低酸素性脳症。付き添っていた臨床研修医に業務上過失傷害罪で罰金刑の判決」

広島地方裁判所 平成15年3月12日判決(判例タイムズ1150号302頁) (争点) 判決理由の「罪となるべき事実」に示された、A医師の注意義務と過失 被告人(臨床研修医)の注意義務の根拠 (1)「主治医」であることによるものか (2) 具体的な注意義務は何か 量刑(罰金20万円)の理由 (事案) ...

2005年6月21日
選択の視点【No.48、49】

今回は、院内感染に関する判例をご紹介します。 ところで、紹介の中では割愛していますが、判決主文では、「訴訟費用の負担」についても判断が示されますNo.48の判決では、訴訟費用の10分の9を原告負担、10分の1を被告負担としています。No.49の判決では、訴訟費用の4分の1を原告負担、4分の3を被告負...

2005年6月21日
No.49「心臓手術を受けた後、MRSA感染症で患者が死亡。病院の責任を認める判決」

前橋地方裁判所高崎支部 平成13年3月22日判決(判例タイムズ1120号246頁) (争点) MRSA感染に対する検査治療上のY医師の過失 (事案) 昭和56年7月9日生まれの男子Aは、生まれつき心房中隔欠損症であったため、平成6年2月1日、G大学付属病院において、手術を受け、その後も心筋症あるいは...

2005年6月21日
No.48「市立病院内の給食でサルモネラ菌に感染し、末期癌患者が死亡。遺族から市に対する慰謝料請求を認める判決」

大阪地方裁判所 平成12年1月24日判決(判例時報1738号83頁) (争点) S病院の過失(1)(入院患者へのサルモネラ菌感染)の有無 S病院の過失(2)(サルモネラ菌感染発見の遅れ)の有無 D医師の過失(1)(サルモネラ菌感染発見の遅れ)の有無 D医師の過失(2)(IVH長期抜去)の有無 因果関...

2005年5月24日
選択の視点【No.46、47】

今回は、小児科に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。このうち、46の判決は、医師だけでなく、薬剤師にも連帯責任が認められた事案です。また、裁判所が認容した損害賠償の内訳の中に、「弁護士照会」という記載がありますが、これは弁護士法第23条の2に規定する制度を利用した、病院宛ての...

2005年5月24日
No.47「小児喘息患者が容態急変して死亡。治療効果の見極めを怠った医師の過失を認めた判決」

富山地方裁判所高岡支部 平成13年2月28日判決(判例時報1761号107頁) (争点) 診察を担当した医師の過失の有無 (事案) 患者A(平成4年6月生まれの男子)は、平成7年1月24日ころ発熱し、26日早朝に息苦しさを訴え、同日午前7時50分ころ救急車でTクリニックに運ばれた。Tクリニックの医師...

2005年5月24日
No.46「副作用成分が常用量を大幅に上回る薬剤を新生児に処方・調剤。医師と薬剤師の連帯責任を認めた判決」

千葉地方裁判所 平成12年9月12日判決(判例時報1746号115頁) (争点) 処方が適切であったか 処方と症状との因果関係 医師・薬剤師の過失 (事案) 患者A(生後4週間の新生児)は、平成7年10月16日午前11時ないし11時30分ころ、母親に帯同されてY産婦人科健康診断クリニック(Y医師が開...

2005年4月25日
選択の視点【No.44、45】

今回は、分娩に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。 判決中に「助産婦」とあるのは、「助産師」に変更してご紹介しております。 このうち、No.45の判決は、一審(東京地裁)では、患者側の請求が全部棄却され、控訴審で逆転した事案です。裁判の争点の一つが、患者に生じた脳出血が、妊娠...

2005年4月25日
No.45「妊娠中毒症に罹患していた妊婦が陣痛促進剤の投与などから、出産過程で脳出血を発症し、左半身麻痺などの後遺症。医師らの責任を認める高裁判決」

東京高等裁判所 平成13年1月31日判決(判例タイムズ1071号221頁) (争点) 脳出血の発症時期及び原因 脳出血の予見可能性 血圧監視義務違反及び母体監視義務違反 因果関係 (事案) 患者Xは、昭和38年6月30日生まれ(出産当時28歳)の女性で、平成3年3月に妊娠し、平成4年1月1日を分娩予...

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