医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年10月27日
選択の視点【No.56、57】

今回は、高齢者の転倒事故で、医院や社会福祉法人の過失責任が認められた判決を2件ご紹介します。 高齢者の転倒は、重大な結果につながりやすいことが、両判決の事案・裁判所の認容額からも伺われます。 No.56の判決で用いられている用語のうち、「無名契約」と「損益相殺」は、見慣れない用語と思われますので、簡...

2005年10月27日
No.57「デイサービスを受けていた高齢女性が施設のトイレ内で転倒。社会福祉法人に損害賠償義務を認める判決」

横浜地方裁判所 平成17年3月22日判決(判例時報1895号91頁) (争点) 施設側に通所介護契約上の安全配慮義務があるか 損害 (事案) 本件施設はY市の地域ケアプラザの一つであって、社会福祉法人であるY協会がY市から委託を受けて運営管理する施設である。 A(事故当時85歳の女性)は、平成12年...

2005年10月27日
No.56「医院でデイケアを受けていた高齢男性が送迎バスを降りた直後に転倒・骨折し、その後肺炎で死亡。医院を設置運営する医師に損害賠償義務を認める判決」

東京地方裁判所 平成15年3月20日判決(判例時報1840号20頁) (争点) 医院側に安全確保義務があるか 医院側に安全確保義務違反があったか 義務違反と死亡との因果関係 損害 (事案) 平成11年12月10日、患者A(当時78歳の男性。痴呆の症状が進んでいたが、自立歩行が可能)は、Y医師が設置運...

2005年9月26日
選択の視点【No.54、55】

今回は、「事後説明」が争点になった判決を2件ご紹介します。 病院・医師と患者との間の診療契約は、民法656条の準委任契約に該当すると解されています。準委任契約とは、「法律行為ではない事務の委託」についての契約で、委任についての規定が準用されます。 そして、民法645条は、「受任者は、委任者の請求があ...

2005年9月26日
No.55「歯科治療上のミスについて、医療事故の状況の確認や患者への報告・説明をしなかったことも歯科医師の過失であるとの判決」

山口地方裁判所 平成14年9月18日判決(判例タイムズ1129号235頁) (争点) 医療事故後の歯科医師の行為に過失があるか (事案) 患者Aは、平成12年12月9日、右上6番の歯の歯冠部が食事中に取れ、同時に歯の部分もいくらか欠けたため、その治療のため、同月11日、Y歯科医師が開設するY歯科を受...

2005年9月26日
No.54「患者の死因について遺族に誤った事後説明をした医師に損害賠償義務を認める判決」

広島地方裁判所 平成4年12月21日判決(判例タイムズ814号202頁) (争点) 患者の死因が誤飲による窒息死であったか否か 患者の死亡について、医師らに過失があったか否か 遺族に対して誤った事後説明を行ったことにつき、説明をした医師に慰謝料支払義務があるか、あるとすればどのような場合か (事案)...

2005年8月25日
選択の視点【No.52、53】

今回は、看護師(判決当時は「看護婦」の用語が使用されていました)の過失が争点となった判決を2件ご紹介します。No.52では看護師に過失があると認定され、No.53では、看護師の過失は否定されましたが、担当医には過失があると認定されました。 戦前の判例には、看護師は医師の手足のようなものであり、看護師...

2005年8月25日
No.53「手術後の麻酔薬注入により患者がショック状態、その後死亡。看護師の責任は否定、主治医、病院管理者、病院の責任を認める判決」

大阪地方裁判所 平成11年3月8日判決(判例タイムズ1034号222頁) (争点) 主治医O医師の責任 K看護師の責任 病院管理者H医師の責任 病院を開設するY教団(宗教法人)の責任 (事案) 患者A(死亡当時88歳の女性)は、平成5年8月21日、転倒して左大腿部頚部を骨折し、Y教団(宗教法人)が開...

2005年8月25日
No.52「手術後の縫合不全から患者死亡。当直看護師の対応に過失ありとして、医療法人に損害賠償責任を認める判決」

大阪地方裁判所 平成11年2月25日判決(判例タイムズ1038号242頁) (争点) W医師の術後の措置に過失があったか S医療法人の責任 損害 (事案) 患者A(死亡当時62歳の女性)は、腹痛と腹部膨満感、嘔吐の症状により、平成8年5月19日にS医療法人が経営するS病院に入院した(大腸癌に起因する...

2005年7月20日
選択の視点【No.50、51】

今回は医療事故で研修医に刑事責任が課せられた判決を2件ご紹介します(No.51の判決中、看護婦と記載されている箇所は看護師に修正してご紹介しています)。 刑事事件の判決なので、紹介の仕方が、民事事件とは若干異なり、損害賠償額などの記載はありません。 両方の判決とも、研修医であれ、医師として患者の診療...

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