医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2004年6月29日
No.24「妊娠月数の診断を誤り、危険な中絶手術により患者失血死。医師に有罪判決」

昭和62年6月10日東京地方裁判所判決 (業務上過失致死被告事件) (争点) 産婦人科医が妊娠月数を誤診し、危険な中絶術を選択し、出血多量により患者を死亡させた、業務上過失致死事案における注意義務(過失)の内容 量刑(禁錮1年2月、執行猶予3年)とその理由 (事案) 産婦人科医院を開設している被告人...

2004年6月29日
No.23「頸部硬膜外注射の後、局所麻酔剤反応により患者死亡。救急蘇生措置の過失を認め、医師を罰金刑とした一審の判断を控訴審も維持」

昭和58年2月22日大阪高等裁判所判決(業務上過失致死被告事件) (争点) 局所麻酔剤反応発現に対する予測可能性および発現した場合に適切な蘇生措置を講ずることによる救命可能性 介助看護師に対する事前教示義務違反の有無 救急蘇生措置の事前準備義務違反の有無 局所麻酔剤反応発現後、看護師に適切な指示をし...

2004年5月25日
選択の視点【No.21、22】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された高等裁判所判決の中から、一審(地裁)の判決が変更された判決をご紹介します。No.21の判決については、一審判決も参照しました。 No.21、No.22の両方の判決で共通しているのは、損害賠償額を算定する際に、「過失相殺」の法理が適用あるいは類推適用されて、...

2004年5月25日
No.22「国立大学医学部付属病院で心臓バイパス術の後、真菌性眼内炎を発症して患者が両眼失明。患者遺族の国に対する損害賠償請求を一部認容」

平成15年 2月20日 名古屋高等裁判所判決(損害賠償請求事件) (争点) 患者の視力障害等に関する訴え・兆候を見落とし、早期に適切な治療行為を行わなかった過失の有無 過失と患者の両眼失明との間の因果関係 損害 (事案) 患者Dは国立大学医学部付属病院で心臓バイパス術を受けた後、脳梗塞を発症し、さら...

2004年5月25日
No.21「糖尿病性足壊疽により左足関節部切断。病院側の過失を認定。一部過失相殺」

平成15年 1月29日 広島高等裁判所松江支部判決(損害賠償請求事件) (争点) 病院医師の注意義務違反の有無 注意義務違反と左足関節部切断との間の因果関係 過失相殺 (事案) 平成8年1月8日、原告・被控訴人である患者X(昭和10年生まれの男性)が、被告・控訴人(外科専門の診療所を開設している医療...

2004年4月30日
選択の視点【No.20】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された最高裁判所判決の中から、都立病院における誤薬投与による死亡事故に関連して、院長に医師法上の警察への届出義務違反という刑事責任(有罪)を認めた判決をご紹介します。事案内容については、一審、二審の判決も参照しました。 この死亡事故については、刑事上も民事上も多...

2004年4月30日
No.20「看護師の誤薬投与による死亡事故。医師法上の警察への届出義務は合憲として、都立病院院長に対する医師法違反の有罪判決を最高裁も維持」

平成16年4月13日最高裁判所第三法廷判決(医師法違反、虚偽有印公文書作成、同行使被告事件) (争点) 医師法21条は、当該死体が自己の診療していた患者のものであるときにも、適用されるか 死体を検案して異常を認めた医師が、その死因等につき診療行為における業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場...

2004年3月30日
選択の視点【No.18、19】

今回は、最高裁判所のホームページに紹介された高等裁判所判決の中から、一審(地方裁判所)での患者側敗訴判決が変更されて、 患者側の請求が一部認められたものを選びました。 このうち、No.19の札幌高等裁判所の判決は、ニュースなどでも話題になりましたが、この判決の中で、「除斥期間」という普段馴染みのない...

2004年3月30日
No.19 「B型肝炎罹患原因が集団予防接種との高裁判断。国に対する慰謝料請求認容」

平成16年1月16日札幌高等裁判所判決 (争点) B型肝炎感染と本件各集団予防接種との因果関係 国の予見可能性 国の結果回避義務 損害 民法724条後段の法的性質 (事案) ABCDE(このうちDは訴訟中に死亡し、相続人である妻と子2人が訴訟を承継)は、幼少時に国の実施した予防接種を受けた。 その後...

2004年3月30日
No.18 「不妊治療薬の副作用から脳梗塞、高裁で医師の過失を認定」

平成15年6月27日広島高等裁判所(損害賠償請求控訴事件) (争点) HCG製剤を追加使用したことが過失にあたるか 医師に検査を十分にしなかった過失があるか 平成7年4月3日時点で入院治療をしなかったことが過失にあたるか (事案) 本件患者(医療事故当時32歳の主婦)は、Aの設置・経営する社会保険A...

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