医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2004年2月27日
選択の視点【No.16、17】

(1)最高裁判所のホームページで紹介されている判決から、今回は「死亡した癌患者の延命の可能性」が争点となっている最高裁判決と高等裁判所判決を選びました。 (2)前回ご紹介したNo.14の最高裁判決と、今回ご紹介するNo.17の最高裁判決の両方が、平成12年9月22日の最高裁判決を引用しています。そこ...

2004年2月27日
No.17「スキルス胃癌死亡患者について、内視鏡検査を実施した医師が適切な再検査を行えば、延命の相当程度の可能性があったと判断。最高裁が1,2審判決を破棄」

平成16年1月15日 最高裁判所第一小法廷判決 (争点) 本件検査時点でスキルス胃癌との診断がされ、これに対する化学療法が開始されていたとすれば、患者が死亡した時点においてなお生存していた「相当程度の可能性」があったか (事案) 患者A(昭和43年生まれの女性)は、平成11年6月30日及び同年7月1...

2004年2月27日
No.16「肺癌確定診断のための検査を怠った県立がんセンター担当医師と県に対し、癌死亡患者の延命の可能性を奪ったことの責任を認めた一審判決を高裁も維持」

平成15年11月5日 名古屋高等裁判所判決 (争点) 平成6年9月の段階でA医師が肺癌と診断せず、経過観察にしたことに過失があったか 平成7年2月の段階でA医師が再度の気管支鏡検査や開胸肺生検等の検査をせずに経過観察としたことに過失があったか 上記1,2の段階でA医師に説明義務違反があったか A医師...

2004年1月28日
選択の視点【No.14、15】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、最高裁判所の判決(上告審判決)からご紹介します。 一審、控訴審と異なり、上告審では控訴審の原判決が適法に認定した事実を前提として、控訴審の法律判断について審理します。 最高裁判所が上告審となるのが原則ですが、この場合、上告理由は憲法違反や重大な手続法違反...

2004年1月28日
No.15 「気管内挿管の抜管後の気道確保について医師の過失を認定。高裁判決を破棄」

平成15年11月14日 最高裁判所第二小法廷判決 (争点) 担当医師に気管内挿管の抜管後、胸くうドレーンの逆流が生じた時点で再挿管などの気道確保のための適切な処置をとるべき注意義務を怠った過失があったか (事案) 患者Bは被上告人が開設した本件病院Aで食道がんの診断を受け、平成6年12月12日から1...

2004年1月28日
No.14 「開業医に転送義務違反を認定。急性脳症患者の請求を棄却した高裁判決を最高裁判所が破棄差戻し」

平成15年11月11日 最高裁判所第三小法廷判決 (争点) 開業医に高度な医療を施すことのできる適切な医療機関への転送義務を怠った過失があったか 上記転送義務違反と、患者の急性脳症による後遺障害との間の因果関係が証明されなくても、転送されていれば患者に重大な後遺障害が残らなかった相当程度の可能性があ...

2003年12月25日
選択の視点【No.11、12、13】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、高等裁判所の判決(控訴審判決)からご紹介します。 控訴した側を控訴人、控訴された側を被控訴人と呼びます。 No.11の判決は、患者側の請求を大部分認めた一審判決に対して、病院側が控訴したものですが、控訴審は控訴を棄却しました。 No.12の判決は、一審の...

2003年12月25日
No.13 「県が設置した2次救急病院で、交通事故患者が外傷性急性心タンポナーデにより死亡。県の責任を認定」

平成15年10月24日 大阪高等裁判所判決 (争点) 被控訴人Eが十分な検査をせず、心嚢内の血液の貯留を見落とした過失の有無 損害 (事案) Fが平成5年10月8日午後4時23分ころ、Jを助手席に乗せた乗用車を運転中に民家のブロックに衝突した。FとJは、救急車でP県(被控訴人P県)が設置した本件病院...

2003年12月25日
No.12 「大学病院での不妊治療で排卵誘発剤の副作用により後遺障害。病院側の説明義務違反を認定」

平成15年8月27日 仙台高等裁判所秋田支部判決 (争点) 副作用防止注意義務違反 重症化予防注意義務違反 脳血栓症発症予防注意義務違反 説明義務違反 損害 (事案) 第1審原告(事故当時30歳の女性)が、第1審被告の設置するA大学医学部付属病院で排卵誘発剤を使用した不妊治療を受け、卵巣過剰刺激症候...

2003年12月25日
No.11 「脳動脈破裂予防術。多数回のクリップかけ直し等の過失を認定」

平成15年7月16日 名古屋高等裁判所判決 (争点) 手術の手技上の過失があったか (事案) 被控訴人(事故当時58歳)が、控訴人(地方公共団体)の経営する病院において、同病院脳神経外科のA医師及びF医科大学脳神経外科助教授のB医師の執刀により、右内頸動脈と脳底動脈の2箇所の動脈瘤について、開頭術に...

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