医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2003年12月25日
No.12 「大学病院での不妊治療で排卵誘発剤の副作用により後遺障害。病院側の説明義務違反を認定」

平成15年8月27日 仙台高等裁判所秋田支部判決 (争点) 副作用防止注意義務違反 重症化予防注意義務違反 脳血栓症発症予防注意義務違反 説明義務違反 損害 (事案) 第1審原告(事故当時30歳の女性)が、第1審被告の設置するA大学医学部付属病院で排卵誘発剤を使用した不妊治療を受け、卵巣過剰刺激症候...

2003年12月25日
No.11 「脳動脈破裂予防術。多数回のクリップかけ直し等の過失を認定」

平成15年7月16日 名古屋高等裁判所判決 (争点) 手術の手技上の過失があったか (事案) 被控訴人(事故当時58歳)が、控訴人(地方公共団体)の経営する病院において、同病院脳神経外科のA医師及びF医科大学脳神経外科助教授のB医師の執刀により、右内頸動脈と脳底動脈の2箇所の動脈瘤について、開頭術に...

2003年12月 2日
選択の視点【No.8、9、10】

今回も、最高裁判所のホームページで紹介された、地方裁判所の判決からご紹介します。 病院側に過失(注意義務違反)があっても、その過失と患者に生じた結果との間に相当因果関係がなければ、その過失については病院側に責任は生じません。損害賠償の範囲も、過失と相当因果関係のある損害に限られます。 No.8の判決...

2003年12月 2日
No.10 「双子出産後MRSA感染から低酸素脳症により重度後遺障害。大学病院にバンコマイシン投与が遅れた過失を認定」

平成15年10月7日 東京地方裁判所判決 (争点) 原告AがARDS、DIC、MOFに陥った原因 上記原因がMRSAであるとして、被告病院には早ければ7月14日から、遅くとも同月17日朝から、原告Aに抗生剤バンコマイシンを投与する義務があったか 上記の投与を行っていれば、原告Aの心停止を回避すること...

2003年12月 2日
No.9 「ガラス片で腕に創傷を負い、救急搬送された患者を入院治療した病院に、受傷翌日までに整形外科を受診させるべき注意義務を認定」

平成15年9月25日 名古屋地方裁判所判決 (争点) 原告の後遺障害の原因 神経損傷、腱損傷等への対応に関する注意義務違反の有無 阻血解消措置を行わなかった注意義務違反の有無 因果関係 損害 (事案) 原告は、本件当時48歳の男性、被告は病院の開設者(法人)。原告が自宅で転倒して左前腕をガラスで負傷...

2003年12月 2日
No.8 「脳腫瘍開頭手術後患者が脳梗塞発症で死亡、治療方法の選択、決定段階における医師の過失、説明義務違反、術後脳梗塞の発見、治療上の注意義務違反を認定」

平成15年6月26日 福岡地方裁判所小倉支部判決 (争点) 亡Fの疾患を頭蓋咽頭腫と誤診した過失があったか 亡Fに対する開頭手術の適応を誤って、本件開頭手術を行った過失があるか 本件開頭手術の手術操作上の注意義務違反の有無 気管内チューブの管理上の注意義務違反の有無 MRSA感染に関する注意義務違反...

2003年10月31日
選択の視点【No.5、6、7】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、地方裁判所の判決からご紹介します。 No.5は、刑事事件の判決です。量刑の理由を読むと、民事事件の判決とは視点が異なる部分も多いと感じられると思います。 なお、「禁錮」というあまり馴染みのない刑が宣告(ただし執行猶予付き)されています。「懲役」と「禁錮」...

2003年10月31日
No.7 「豊胸手術で胸に傷痕、切開位置を誤った」

平成15年7月30日 東京地方裁判所判決 (争点) 被告が豊胸手術をした際、切開位置を誤り、目立ちやすい傷痕を残した過失があるか 損害額 (事案) 患者(独身女性)は被告が開設するクリニックで両胸にシリコンパックを挿入する豊胸手術を受け、胸は大きくなったものの、左側の傷痕が右側の傷痕に比べ乳房に近く...

2003年10月31日
No.6 「糖尿病患者への輸液不十分、IVH抜去後放置で患者死亡、病院と医師に損害賠償」

平成15年4月11日 前橋地方裁判所判決 (争点) 被告病院の治療が不適切であったか(輸液・インスリンなどの量が不適切であったか、また患者がIVH(中心静脈注射)を外した際に不適切な処置をしたか) 被告病院の不適切な治療と、患者の死亡との間に因果関係があるか 損害 過失相殺 (事案) 患者(男性;死...

2003年10月31日
No.5 「膝関節手術後の点滴過剰投与で患者が死亡、医師に有罪(執行猶予付禁錮刑)判決」

平成15年3月28日新潟地方裁判所判決 (争点) 整形外科医が手術後に点滴剤を過剰に投与して患者を死亡させた、業務上過失致死事案における注意義務(過失)の内容 量刑(禁錮1年、執行猶予3年)とその理由 (事案) 被告人(病院勤務;整形外科医)が、当時85歳の心臓疾患(拡張型心筋症)がある女性患者の主...

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