医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.34、35】

今回は、医薬品の添付文書の記載と、投与した医師の注意義務との関係が争点となった判決を2件ご紹介します。

なお、No.34判決の紹介にあたっては、一審判決(広島地方裁判所平成5年9月20日・判例時報1527号128頁)も参考にしました。

これらの判決に先立つ、最高裁判所平成8年1月23日判決は、「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである」と判示しています。この最高裁判決は、添付文書の記載と異なる医療慣行が存在し、その医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできないとも判示しており、医療現場においても留意する必要があります。

カテゴリ: 2004年11月26日
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