医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2023年10月10日
No.488「71歳患者に対し術前ストーマサイトマーキングを行わず、陥没型ストーマが造設され、自己管理が困難に。医師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成11年5月31日 判例タイムズ1009号223頁 (争点) 術前ストーマサイトマーキングを怠った医師の過失の有無 突出型ストーマを造設しなかった医師の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(大正11年生まれの女性・精神科の医師)はページェット病に罹患してい...

2023年9月 8日
選択のポイント【No.486、487】

今回は、検査に関連した誤診について、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.486の事案では、病院側は、2回の診察時に子宮外妊娠の診断に必要不可欠とされているhCG検査を実施した旨主張しました。 しかし、裁判所は、2回の診察の際に作成されたカルテにはいずれもhCG検査を実施した旨...

2023年9月 8日
No.487「カテーテルアブレーション手術中に患者が急性心タンポナーデを発症しその後死亡。自然に発生した発作時における心電図を記録して心房細動を確認しないまま、心房細動と確定判断した医師の過失を認めた高裁判決」

東京高等裁判所令和2年12月10日判決 判例時報2490号11頁(原審 横浜地方裁判所横須賀支部平成30年3月26日判決) (争点) 心房細動と診断できる所見がないにもかかわらず、カテーテルアブレーション手術を実施した過失の有無 *以下、原告(控訴人)を◇、被告(被控訴人)を△と表記する。 (事案)...

2023年9月 8日
No.486「子宮外妊娠による左卵管破裂を卵巣機能不全等と誤診。誤診がなかった場合よりも過大な手術痕が残ったこと等につき、慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成5年8月30日判決 判例時報1503号108頁 (争点) △2医師が、◇の症状を子宮外妊娠と診断せず、骨盤腹膜炎や卵巣機能不全と診断したことに関する過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和39年生まれの女性・未婚)は、腹部痛が激しくなり、平成元年(以下...

2023年8月10日
選択のポイント【No.484、485】

今回は、医師の判断(手術方法選択や薬剤投与方法)につき、過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.484の事案では、病院側は、バッシーニ法を選択した理由として、(1)これまでの小児鼠径ヘルニア手術例のうち約3分の1についてはバッシーニ法を採用してきたが、本件以前の手術で睾丸萎縮等の合併症を惹...

2023年8月10日
No.485「内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を受けた患者が低酸素脳症に陥る。鎮静剤であるミダゾラムを側管注法で投与したことに対して、医師の過失が認められた事案」

神戸地方裁判所令和3年9月16日判決 判例時報2548号43頁 (争点) △病院の医師らが鎮静剤であるミダゾラム10mgを側管注法で投与したことに過失または注意義務違反があるか *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(本件手術当時46歳の女性。専業主婦。身長157cm、体重72.7kg...

2023年8月10日
No.484「先天性外鼠径ヘルニア根治手術で医師の手術方法選択に関する過失が認められた地裁判例」

東京地方裁判所八王子支部 平成元年11月17日判決 判例タイムズ712号221頁 (争点) 手術方法選択の裁量の範囲を逸脱し、医師として過失があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和53年8月29日生まれの男児)は、昭和53年10月19日から△社会福祉法人の経営する病...

2023年7月10日
選択のポイント【No.482、483】

今回は、歯科医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.482の事案では、判例時報2428号61頁に掲載された一審判決とその解説も参考にしました。 この事案で、一審は、歯科医師はあくまでも治療期間の目安として1年間と説明したものであり、全く医学的根拠を欠くものではないことを考慮すると、歯...

2023年7月10日
No.483「インプラント手術で神経損傷。歯科医師に術前検査を怠った過失を認めた地裁判決」

大津地裁令和4年1月14日判決 判例時報2548号38頁 (争点) 歯科医師に術前検査を怠った過失があるか *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(平成2年生まれの女性)は、平成26年11月20日、△歯科医院(△医療法人が設置運営しており、△歯科医師が△医療法人の代表者理事長をつとめて...

2023年7月10日
No.482「歯列矯正の治療期間に関する歯科医師の説明義務違反を認めて、患者への損害賠償を命じた高裁判決」

東京高等裁判所 令和元年11月13日判決 ウエストロージャパン (争点) 治療期間に関する説明義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和43年生まれの女性)は、平成24年頃、顎関節症の治療及び矯正治療を受けたいと考えていた。当時、◇は44歳であり、海外に長期滞在をする...

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