医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.108、109】

今回は、脳の手術における医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。

No.108には「司法解剖」という用語が出ています。また、No.109の判決紹介にあたっては、判例タイムズの同じ号に掲載されていた、原審判決(大分地裁)も参考にしておりますが、その原審判決中に、患者Aの病理解剖がなされなかった旨が記載されております。

そこで、解剖について、「司法解剖」「行政解剖」「病理解剖」の区別を簡単にご説明します。

「司法解剖」とは、刑事訴訟法129条、168条1項、225条1項などに基づき、いわゆる変死体について、犯罪捜査や裁判のために行われる解剖です。

「行政解剖」とは、伝染病死・中毒死、災害死その他死因の明らかでない死体について、死因を明らかにするために監察医などが行う解剖です。根拠となる法律は、死体解剖保存法8条、食品衛生法59条1項、2項、検疫法13条2項などです。

「病理解剖」とは、死体解剖保存法に基づき、病死した死体について、病気の状態、診断や治療効果の判定等を行い、医学の進歩のために行われる解剖です。

No.108の事案は、刑事事件として捜査がなされたため、司法解剖が実施されて鑑定書が作成されたようです。

カテゴリ: 2007年12月11日
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