医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.90、91】

今回は、疾患のある人が医療過誤により死亡した場合で、損害賠償の項目のうち、逸失利益が否定された判決を2件ご紹介いたします。

逸失利益とは、その人が生存していれば得たであろう利益のことを指します。

No.90の判決では、患者が肝臓病の療養に専念しており、現実に働いて収入を得る蓋然性を認めることが困難であるという理由で逸失利益を認めませんでした。

NO.91の判決では、患者は横紋筋肉腫と診断されており、医療過誤により死亡しなかったとしても、横紋筋肉腫によって死亡する可能性が非常に高く、また医療過誤がなければ少なくとも6ヶ月程度の延命は可能であったが、その延命期間中に勤めに出て給与の支給を受けた蓋然性までを認めることはできないという理由で、逸失利益を認めませんでした。

どちらの判決も、患者が以前から有していた疾患が損害賠償にどのように反映されるかという観点から、参考になる事例と思います。

カテゴリ: 2007年3月12日
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