医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2020年2月10日
選択の視点【No.400、401】

今回は、手術に際して患者の神経が損傷された事案を2件ご紹介します。 No.400の紹介にあたっては、一審判決(静岡地裁平成28年3月24日・ウエストロー・ジャパン)も参考にしました。 No.401の紹介にあたっても、一審判決(札幌地裁平成30年2月7日・ウエストロー・ジャパン)も参考にしました。 N...

2020年2月10日
No.401 「大学病院で右第2CM関節固定術及び骨移植の手術を受けた患者につき、医師の過失により橈骨神経が損傷したと認定した高裁判決」

札幌高等裁判所平成30年7月20日判決 ウエストロー・ジャパン (争点) 医師が手術の際に、神経を損傷したと認められるか否か (事案) X(手術当時40歳の女性)は、右手背に固い隆起ができ、平成23年夏頃から右手母指周囲から右手背にかけて痛みが生じるようになった。 平成24年1月25日、Xは、Y公立...

2020年2月10日
No.400 「点滴ルートの確保のために左腕に末梢静脈留置針の穿刺を受けた患者が複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症。看護師が、深く穿刺しないようにする注意義務を怠った結果、橈骨神経浅枝を損傷したと認定した高裁判決」

東京高等裁判所平成29年3月23日判決 第一法規法情報総合データーベース (争点) 看護師に、穿刺行為の際に深く穿刺しないようにする注意義務を怠った過失があるか (事案) 平成22年12月19日、X(昭和51年生まれの女性)は翌20日に甲状腺右葉半切除手術(以下「本件手術」という。)を受けるため、日...

2020年1月10日
選択の視点【No.398、399】

今回は、手術の手技上の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.398の事案では、病院側は、患者の死因は心筋梗塞と主張しました。しかし、その主張の根拠である、「患者の容態急変後の心電図によればST波の上昇があった」という点について、裁判所は、(1)ST波の上昇を認識した麻酔担当外科医師に遅れる...

2020年1月10日
No.399 「脳腫瘍切除術中に内頸動脈から出血が生じ、患者に脳梗塞並びに左片麻痺と失語の症状が生じた。大学病院の執刀医に、内頸動脈付近まで手術を行った過失を認めた事案」

神戸地方裁判所平成19年8月31日判決 判例時報2015号104頁 (争点) 内頸動脈付近まで手術を行った過失の有無 (事案) X(昭和15年生まれの専業主婦)は、平成10年4月ころから、頭痛やめまいが生じており、同年5月初旬には歩行障害が生じるようになっていた。 そこで、Xは、同年5月27日、Yが...

2020年1月10日
No.398 「右腎臓摘出手術を受けた患者が術後、大量出血により死亡したのは、執刀医師による腎動脈の結紮が不十分であったことによるものとして病院側に損害賠償を命じた判決」

東京地方裁判所平成14年9月30日判決 判例タイムズ1135号242頁 (争点) Aの死因とその原因について Yの責任の有無 (事案) 平成9年2月25日、A(死亡当時76歳の男性・保険会社代理店店主及び太極拳の指導員)は、J医師の紹介により、Yの開設する病院(以下「Y病院」という)泌尿器科外来を受...

2019年12月10日
選択の視点【No.396、397】

今回は転院・他科の紹介に関する医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.396の事案では、患者が総合病院で最初に受診した脳神経外科の医師が、患者は同病院の耳鼻咽喉科で受診することを望まなかった旨の供述をしましたが、裁判所は、医師の供述はそれ自体不自然であり、患者が翌日自らの意思で同病院の...

2019年12月10日
No.397 「頚髄髄内出血患者が転送後の病院で血腫摘出手術を受けたが、四肢麻痺の後遺障害が残る。医師に転送義務を怠った過失を認めた地裁判決」

山口地方裁判所岩国支部平成15年3月31日判決 判例タイムズ1157号242頁 (争点) 転送義務を怠った過失の有無 (事案) X(平成6年10月当時29歳の男性)は、平成6年8月上旬ころから、頚の後部の痛みや右手の親指と人差し指の指先の部分にしびれ感を覚えるようになり、そのしびれ感が増進するのを自...

2019年12月10日
No.396 「蝶形洞のう胞に罹患した患者が脳神経外科を受診したが、2か月後に左眼失明。総合病院の脳神経外科医師が患者を耳鼻咽喉科に紹介し、診察資料を提供して適切な診療を依頼すべき義務を怠ったとして病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

浦和地方裁判所平成4年3月2日判決 判例タイムズ781号196頁 (争点) Y病院の過失の有無 損害額 (事案) X(昭和21年生まれの男性。鍼灸・マッサージ・指圧の業務に従事。鍼灸院を開設。)は16歳のころ、副鼻腔炎を患い、病院に入院して手術を受けたことがあるが、ほかにはこれというほどの病歴はなく...

2019年11月11日
選択の視点【No.394、395】

今回は、入院中の患者に対する経過観察を怠った過失が認定された裁判例を2件ご紹介します。 No.394の紹介に当たっては、一審判決(浦和地方裁判所昭和59年10月31日判決 判例タイムズ545号241頁)も参考にしました。 No.394の事案では、医師は、患者には当時、右足関節脱臼骨折の外に、より重篤...

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