医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2019年11月11日
No.395 「発作性心房細動及び急性心不全で入院中の患者につき、担当医師が血糖値の結果を見落として経過観察を怠った過失により患者を高次脳機能障害に至らせたとして、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成17年4月22日判決 判例時報1932号 107頁 (争点) 医師の過失の有無 後遺症の発生と医師の過失との因果関係の有無 (事案) X(平成12年3月10日当時73歳の男性・同日まで内科の開業医として稼働していた)は、平成9年12月中旬、上気道炎を患った後、労作時の呼吸困難や動悸...

2019年11月11日
No.394 「転倒して右足関節脱臼骨折した高齢者に保存療法を実施したが機能障害が生じる。レントゲン撮影による適切な経過観察を怠った過失を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成元年12月13日判決 判例タイムズ729号196頁 (争点) 脱臼骨折部位を徒手整復した上で整復部を保持し転位が生じないように患部を十分に固定すべき義務に違反した過失の有無 レントゲン撮影による経過観察を行い、その結果判明した症状に対応した治療を実施すべき義務に違反した過失 (事案...

2019年10月10日
選択の視点【No.392、393】

今回は、予防接種に関して接種担当医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.392の事案では、担当医師は、本件予防接種に関して具体的な記憶がないとしたうえで、本件予防接種当時はいつも、問診票を見て、保護者に質問をし、被接種者全員に対し、聴診器を用いた聴診、舌圧子を用いてのどの視診をし、被...

2019年10月10日
No.393 「インフルエンザワクチンの予防接種を受けた女児に後遺症が発生。接種担当医師に問診義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年5月24日判決 判例タイムズ1127号224頁 (争点) 予防接種とX1の本件症状との間の因果関係の有無 予防接種を担当した医師につき、国家賠償法上過失があるか否か (事案) A小学校6年在学のX1(X2およびX3の長女)は、昭和58年11月8日(以下、「本件第1回予防接種」...

2019年10月10日
No.392 「百日せき・ジフテリア・破傷風の3種混合ワクチンの予防接種後、女児に重度の心身障害が残る。泣いて嫌がる女児に名前を確認する以外の問診、聴診及び視診をせずに接種を行った担当医師に国家賠償法上の過失があったとした事例」

東京地方裁判所平成13年3月28日判決 判例タイムズ1168号141頁 (争点) 予防接種と被接種者の症状との間に因果関係があるか否か 接種担当医の過失があるか否か (事案) X1(昭和58年3月24日生まれの女児・体重3312g、身長48㎝の正常分娩で出生)は、出生後5日目に黄疸のため光線療法を受...

2019年9月 9日
選択の視点【No.390、391】

今回は、検査義務違反が認められた事案を2件ご紹介します。 No.390の事案の紹介にあたっては、原審である名古屋地方裁判所平成23年1月12日判決が掲載された医療判例解説37号123頁(2012年4月号)も参考にしました。 この事案では、患者遺族側は、平成19年1月12日の第1回内視鏡検査の所見がス...

2019年9月 9日
No.391 「入院中に脳梗塞を発症した患者に重度の失語症などの後遺症が残る。医師が脳梗塞の発症を鑑別するための検査を行わなかったとして、検査義務違反を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所平成28年3月8日判決 判例時報2318号59頁 (争点) CT撮影後、CT画像の読影に要する時間(約1時間)が経過した11月13日午後8時頃の時点において、医師に、患者の脳梗塞発症を診断し、治療を開始すべき義務の違反があったか否か 11月13日午後8時頃の時点において、医師に、患者の...

2019年9月 9日
No.390 「市立病院で診察を受けていた患者がスキルス胃癌により死亡。できるだけ早期に診断確定するための再検査を実施しなかったとして、注意義務違反による過失を認定し、過失がなければ患者が生存していた相当程度の可能性が侵害されたとして、市に損害賠償を命じた高裁判決」

名古屋高等裁判所平成25年4月12日判決 ウェストロージャパン (争点) 過失(検査義務違反)の有無 (事案) 平成18年12月25日、A(昭和12年生まれの女性)は前胸部から背部痛を訴えてY市の開設する病院(以下、「Y病院」という。)を受診し、Y病院内科のD医師(消化器内科医。以下、「担当医師」と...

2019年8月 9日
選択の視点【No.388、389】

今回は、開腹手術に比べて侵襲が少ない内視鏡手術や腹腔鏡下手術における、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.388の事案では、患者は、慰謝料として630万円を請求していたところ、裁判所は、患者が本件各手術後、治療を続けていたが、人工尿道括約筋埋込術を受けるまでの約2年3ヶ月の間、高...

2019年8月 9日
No.389 「腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた患者に大腸癒着の後遺症が残る。医師が術中に電極を腸管に接触させて穿孔させたか、または、腸管壁の近くを剥離して熱損傷を与えて術後に穿孔させたかいずれかの過失があると判断した地裁判決」

横浜地方裁判所平成13年7月13日判決 判例タイムズ1183号314頁 (争点) 腹腔鏡下胆嚢胆摘出術により十二指腸に穿孔を生じさせた過失の有無 (事案) 平成9年2月26日、X(昭和10年生まれの女性・公園内で売店を経営)は、Y社団法人の経営する病院(以下、「Y病院」という。)で成人病検診を受けて...

ページの先頭へ