医療判決紹介:最新記事

選択のポイント【No.544、545】

今回は、救急搬送後に退院(帰宅)した患者の容態が悪化したことについて、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.544の事案では、控訴審裁判所は、損害額の算定にあたり、救急搬送時には患者の頭蓋内には相当程度に進行し、肥大化したのう胞が存在していたこと、病院としては、小児科救急医療の受入れ先として、深夜に救急搬送された患者に対して取り急ぎ救急医療を施したものであること、その他本件に顕れた事情を総合考慮すると、公平の見地から5割の素因減額を行うのが相当であると判示し、逸失利益、死亡慰謝料、葬儀費用の小計から5割を減額した金額に弁護士費用を加えた額を損害賠償額と判示しました。

No.545の事案では、病院側は、仮に外科的治療を開始していたとしても、高齢であるほど重症化しやすく、慢性硬膜下血腫患者の約3割が退院時に何らかの介護を必要とするのであるから、後遺症の発生という結果を回避できたかは不明であると主張しました。しかし、裁判所は、約3割という数値は、慢性硬膜下血腫患者のうち80代や90代も含めた結果であって、その数値のみから判断するのは適切ではない、本件診察当時77歳であった患者に関して考慮すべき数値は70~79歳までの慢性硬膜下血腫患者の治療結果であり、同結果において、退院時に機能回復良好(mRSO-2)であった患者の割合は79.6%であることから、病院側の主張を採用しませんでした。

両事案とも実務の参考になるかと存じます。

カテゴリ: 2026年2月10日
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