医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2018年1月10日
No.351 「サンディミュン投与による免疫抑制療法を行っていた再生不良性貧血患者に対して投与を中止したが、患者が死亡。サンディミュンの再投与が遅れたとして県立病院側の責任を認めた高裁判決。」

仙台高等裁判所平成28年2月26日判決 医療判例解説70号62頁 (争点) サンディミュン再投与義務違反の有無 (事案) 平成6年7月4日、A(昭和26年生まれの女性)は、倦怠感などを訴え、Y県が設置・管理する病院(以下、Y病院という)で診察を受けたところ、7月6日、再生不良性貧血と診断された。 A...

2018年1月10日
No.350 「手術後の高カロリー輸液療法中に患者が衝心脚気により死亡。医師がビタミンB1の混入投与を失念した過失があるとして、病院側に損害賠償を命じた高裁判決」

大阪高等裁判所平成13年1月23日判決 判例時報1764号 70頁 (争点) 高カロリー輸液療法中に総合ビタミン剤投与を失念した医師の過失の有無 (事案) A(昭和9年1月生まれの女性)は、平成6年8月6日朝より腹痛、悪寒、嘔吐を訴えてY医療法人が経営するY病院に入院した。 Aは、小腸が以前の虫垂炎...

2017年12月 8日
選択の視点【No.348、349】

今回は、医師側の損害賠償義務を認める一方で、損害額の算定においては、患者側の過失や損害への寄与が考慮された裁判例を2件ご紹介します。 No.348の事案では、医師の誤診を認定されましたが、裁判所は、患者が異常に肥満していることを医師が良く知っており、かつて慢性胃炎の治療をしたこともあって常々食べ過ぎ...

2017年12月 8日
No.349 「甲状腺疾患の治療中の患者が肝がんに罹患。病院側には肝機能悪化時に肝臓専門医を紹介すべき義務の違反があるが、損害のうち、患者が各種検査を受診しなかった過失や、患者がB型肝炎ウイルスキャリアであったことの損害への寄与を考慮し、過失相殺(患者の過失及び寄与4割)をした地裁判決」

京都地方裁判所平成 28年2月17日判決 判例時報2332号 58頁 (争点) XとY医療法人との間におけるXのB型肝炎の治療を目的とする診療契約の成否 Y医療法人の債務不履行の有無 Y医療法人の債務不履行とXの肝硬変及び肝がん罹患との因果関係の有無 過失相殺の可否 (事案) X(昭和27年生まれの...

2017年12月 8日
No.348 「高校1年生の男子生徒が糖尿病性昏睡により死亡。急性胃炎と誤診した医師の過失を認めたうえ、患者生徒に保護者の付添がなく正確な症状が伝えられなかったことと、患者生徒の多飲多食が病状を悪化させたとして過失相殺(患者生徒の過失7割)をした地裁判決」

広島地方裁判所尾道支部所平成元年5月25日判決 判例時報1338号 127頁 (争点) Y医師の診断が債務不履行にあたるか否か 患者側に過失があるか否か (事案) A(当時16歳の県立高校1年生男子。身長157.4㎝、体重94.6㎏)は、昭和56年8月7日、母であるX2に対して、足がふらふらする、体...

2017年11月 9日
選択の視点【No.346、347】

今回は、クモ膜下出血の診断ができずに患者が死亡に至った事案で病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.346の事案では、外科医院を開業している医師が、患者に腰椎穿刺を試みたがうまく刺入することができず断念し、再度試みなかった理由として、患者の腰椎の著明な変形を挙げましたが、裁判所は、...

2017年11月 9日
No.347 「頭痛を訴え来院した患者のクモ膜下出血を市立病院の内科医、神経内科医らが見落とし、その後、患者が死亡。脳神経外科医に連絡してCT写真の読影を依頼するなどの措置を講じなかった過失を認定し、更に、患者が腰椎穿刺を拒否したことにつき、十分な説明がなかったとして過失相殺を否定した高裁判決」

名古屋高等裁判所平成14年10月31日判決 判例タイムズ1153号 231頁 (争点) Y病院医師らの注意義務の有無 過失相殺の有無 (事案) 平成7年4月19日昼頃、A(52歳の女性)は激しい頭痛、悪心及び嘔吐が生じたことから、翌20日午後9時30分ころ、Y市の開設するY市民病院(以下、Y病院とい...

2017年11月 9日
No.346 「クモ膜下出血により、患者が植物状態となりその後死亡。入院先の外科医院の医師は髄液検査を断念してクモ膜下出血との診断に至らず、諸検査設備のある病院への転送措置もとらなかった。医師の過失を認めて遺族への損害賠償を命じた地裁判決」

広島地方裁判所昭和62年4月3日判決 判例タイムズ657号 179頁 (争点) Y医師の責任の有無 因果関係の有無(Y医師の過失とA死亡との間の因果関係の有無) (事案) 昭和55年9月18日午前4時30分頃、A(当時60歳の女性)は自宅台所で突然倒れて昏睡状態に陥ったため、救急車でY医師の経営する...

2017年10月 6日
選択の視点【No.344、345】

今回は小児科での死亡事故で、転医義務が争点となった事案を2件ご紹介します。 No.344の事案では、医師側は、診察日に医師が処方した薬を患者(2歳の女児)の両親がその指示通りに服用させなかったことなどを理由に、過失相殺を主張しましたが、裁判所は、母親が直後の受診日に医師に薬の不服用について告げ、医師...

2017年10月 6日
No.345 「国立病院入院中の11歳の男児が重篤な喘息発作を発症し、転医先で死亡。国立病院の小児科医師に転医措置を怠った過失があるとされた地裁判決」

奈良地方裁判所 平成5年6月30日判決 判例タイムズ851号 268頁 (争点) 主治医の転医義務違反の有無 主治医の転医義務違反とAの死との因果関係の有無 (事案) A(事故当時11歳の男児)は、生後7ヶ月の頃から喘鳴をしばしば起こすようになり、その発作が起こる度に近隣の医院等に通院し、あるいは入...

ページの先頭へ